対応バージョン: Painter 7 以降。
輪郭抽出を自動で
すでにある画像から輪郭線を抽出する、というのは、とくに写真を絵画風に加工する上では重要なワザのひとつです。Painter でも、「Woodcut / 木版画」、「Sketch / スケッチ」といった機能が、その目的に使えます。このどちらも意図したものとは違う場合、プラグインを使用するという方法もありますが、じつは Painter に内蔵されている機能を組み合わせることで、かなり使えそうな輪郭線が抽出できます。
下の例で、いちばん左が木版効果を使って黒のみを出力したものですが、どうしても少し線が重くなります。その次がスケッチ効果の利用です。どう設定しても線が弱いのが欠点。で、右のが今回取り上げるハイパスとディストレスを使ったものです。
特殊効果 / ハイパス
ハイパスというのは、イメージ編集の分野では、隣接するピクセルの色が大きく変化する部分を取り出す処理です。Photoshop にもあります。
「ハイパス」そのものは古いバージョンからある機能ですが、Painter 7 でグレードアップしています。すなわち、「フォーカス」-「ぼかし」でアパチャの種類が円形だったところに「ガウス」という選択肢がつき、同じ演算が「ハイパス」と「シャープ」にも使用されるように変更されています。これにより、「シャープ」はより自然な「アンシャープマスク」になっています。
ガウスぼかしをかけた画像を、違う方法で元の画像と合成した結果が、アンシャープマスクとハイパスです。
この画像を加工します。
「効果」-「特殊効果」-「ハイパス」で、アパチャの大きさをデフォルトの「3」のままで実行したのが下の画像。色が変化する部分だけに境界線が浮き出て、変化のないところはグレーになります。
表面処理 / ディストレス
メニューから「効果」-「表面処理」-「ディストレス」を選ぶとこのようなダイアログになります。
ここで下から 2 つめのスライダの「variance / 分散」は、参照元のデータをどの程度まで使用するかの設定になりますので、元の画像からできるだけ滑らかな線を抽出するには左の端に寄せて、参照元データを「使わない」ようにします。いちばん下のスライダは白と黒のバランスを決めるもので、左に寄せるほど白が多くなります。ちょうどよい量をていねいに探す必要があります。
その他のスライダは適当に設定してください。(「ヘルプ」にも解説があります。) 下のように、かなりしっかりした輪郭線を得ることができます。
「ディストレス」効果の主目的は、テクスチャデータと合成してノイズのあるモノクロ画像を生成することにあると思います。設定スライダを追加して「スクリーンの適用」を少し進化させたものと考えていいかもしれません。
カラー画像と合成
こうやって作成した線画はいろいろな目的で使えると思いますが、写真を絵画っぽくするなかで使った場合、ひとつの写真画像から輪郭線画像と色画像を作り、これを合成するのが基本的なアプローチになると思います。
ここでは元画像(使うのはつねにコピーかクローンです)に Painter IX.5 で追加された「下塗りペインティング」パレットの「スマートブラー」を強めにかけてみました。
色画像の上に輪郭線画像をきっちり重ね(「正確にペースト」を使うと位置がずれません)、レイヤーパレットで線画レイヤーの「合成方法」を「フィルタ」に変更。
(2006/09/13)