これは、Corel Corporation の 2007 年 2 月 6 日付プレスリリース(英語) を、要約しつつ引用したものです。(カッコ内はかぶら屋 による注。)
新バージョン要点
Painter X がコーレルウェブサイトで販売予約開始。画家、デザイナー、写真家といったプロのアーティストに、他のソフトウェアでは得られないナチュラルペインティング体験を可能にする、というのがこのバージョンの主眼。よりいっそう、リアル画材の描画感覚を追及しました。
Painter Team (Painter 開発に関わるスタッフ全員を「チーム」と言います。Painter IX のハンドブックに集合写真があります。たぶん多少の人員入替えがありますが) はさまざまな分野で活動するアーティストの協力を得て、新たな境地を開きました。パフォーマンスのさらなる向上を実現、画面構成ツールの搭載、さらに「リアルブリスル・ペインティング・システム」を開発、絵筆のそれぞれの毛の動きを再現し、キャンバスに描く感覚を盛り込むことに成功しました。
「Corel Painter X の開発にあたっては、傑作の制作を助ける『究極のアトリエ』を実現するため、ユーザーの声を聞くことに徹しました。トップ・アーティストたちの協力も受けました。Corel Painter の本質とは、というわれわれの問いかけに対し、圧倒的に多かったのは、『アートと情熱』という答えでした。これに導かれてできあがったのが、これまでよりさらにナチュラルで有機的、またパワフルなこのバージョンです」(プロダクト・マネージャー リック・シャンペイン談)
新機能リスト
「ナチュラル・メディア」ペイントツール、新たな境地へ 。新機能には次のようなものがあります。
- リアルブリスル・ペインティング・システム ― 毛の 1 本 1 本まで絵筆をシミュレート。絵筆のしなりやバラケかた、乗った絵具の混じり具合までを追及。(このあたりが「目玉」かも。ただし、動作が重くなるのは覚悟ですね。)
- 画面構成ツール ― 「黄金分割」や「レイアウト・グリッド」など。
- フォト・ペインティング・システムの強化。(少しコントロールできる項目が増えました。)
- 色調統一機能(Match Palette)。(意外に使える。)
- 「ミキサー」の混色スポイト対応がキャメルブラシ系に拡張。(地味だけど使える。)
- スピードの向上。(しばらく使ってみないと……。いろいろな CPU に対応するのも大変だとは思いますが。)
- Macintosh OS で「ユニバーサル・バイナリ」に対応。すなわち「Intel Mac 対応」ということです。(これは重要。)
- 「ワークスペース・マネージャー」搭載 ― リストに表示されるブラシカテゴリやバリアントの種類をカスタマイズできるようになった。「アート素材」や「ポートフォリオ」とともに、目的別に切り替え可能。(でも CorelDRAW のものと較べると初歩的なものなので、過度な期待は禁物。)
- 「覆い焼き」と「焼き込み」ツールが独立。
- カラーマネジメント機能の強化。ICC4.0 に対応。
- Windows Vista 対応。(タイミングとしては早めにがんばりました。)
- Mac OS X サポート強化。最新バージョンに対応。
- Adobe Photoshop との互換性強化。Mac OS X 用の Photoshop Plugin で使えるものが増えた。
- Wacom タブレットサポート強化。Wacom 6D アートペンを使うと「リアルブリスル」の使用感がリアルに。
- 「ユーザーガイド」が印刷物で付属。(Painter IX のときは「ハンドブック」のみが印刷物でした。)
- Jeremy Sutton のトレーニングビデオへのアクセス権つき。(このあたり、日本語版も何かあるとよいのですが。)
- 「Welcome 画面」に「オンライン」ページを追加。(直接 Coel のウェブサイトにつながるようです。Tips もあります。)
同梱物・対応 OS など
- アプリケーション本体(Mac OS 用と Windows 用)
- コンテンツ(アート素材、ブラシライブラリ、写真)
- ドキュメンテーション(フルカラー印刷物の「ユーザーガイド」、および、HTML 形式のヘルプファイルと、特定分野の PDF ファイル。)
- トレーニング(Jeremy Sutton のトレーニング・ビデオをダウンロードできるアクセス権)
Mac OS X の 10.3.9 以上で、最新パッチ適用ずみのもの、Power PC G4 なら 700MHz 以上、Power PC G5、Intel Mac に対応。
Windows Vista、Windows XP、Windows 2000(いずれも最新サービスパック適用ずみ)、Pentium III 700MHz 以上の CPU。
インストールするだけで、Mac で 280MB、Windows で 360MB のディスク容量を消費するので注意。(個別ユーザー設定保存領域をたくさん使います。)
価格と発売時期
英語版は 2 月 6 日から予約受付。通常版(429 ドル)のほか、アップグレード版(229 ドル)、エデュケーション版(学生と教育現場用)、Painter 伝統の「缶」に入った限定版(500 本)を発売。パッケージ版(ダウンロード版ではないもの)は、2 月下旬に発売。日本語版、フランス語版、イタリア語版、ドイツ語版は 2007 年春期内に発売予定。
Painter X 缶入り限定版 は、通常版の内容に加えて、Jeremy Sutton のチュートリアル DVD、ポスター、画面構成ガイド(実際の道具として)となっています。エデュケーション版は DVD ケース入り(ユーザーガイドなし)で、99 ドル。(北米向けバージョンは日本向けの通販をしているオンラインショップは少ないようです。実績があるのは sparco.com や FRYS.COM あたりですが、日本版を買ったほうが日本のコーレル株式会社のサポートが受けられるので、他に重大な理由がない限りは、そちらをおすすめします。)
(ダウンロード版は 10 ドル安くなりますが、おすすめしません。ユーザーガイドが PDF のみになる、のみならず、追加のブラシファイル、アート素材、ストック写真が付属してきませんし、CD-ROM なら Windows 版と Macintosh 版が両方入っているのに、ダウンロードだと片方だけになります。)
Corel Corporation ウェブサイトリンク
- Corel Painter X 総合セクション(英語)
- The Painter Studio ― Painter X 関連情報提供セクション。試用版のダウンロードはここの「Try It」から。ギャラリーもあり。
- The Essence ― Painter 基礎知識。「新機能解説」と「収録ブラシのあらまし」あり。Painter IX のハンドブック冒頭のあたりと同じ。
ユーザーによる情報リンク
- どどど さんの 第一報。
- どどど さんの リアルブリスル設定解説。
- どどど さんの Divine Proportion (黄金比)解説。
- Charako さんの Painter X 英語版発売、体験版情報。リアルブリスルのストローク例、Intuos 3 のアートペンの併用例、画面構成用ツール概要、ワークスペース・マネージャーの概要など。
- Charako さんの Painter X 英語版発売、体験版情報 その2。「カラー・マッチング」を実際に使う手順と作例、新水彩の処理遅延関連情報など。
- どどど さんの intuos 3 の 6D Art Pen(マーカーペン)について。。
2007/02/08 ― 価格とパッケージの種類を追加。
2007/02/17 ― ユーザーリンク追加の最終。
(2007/02/07 - 2007/02/17)