Painter の歴史も長くなり、その途上で大きい仕様変更が行われています。ウェブ上の情報や少し前に出版された解説書を参考にしようとするとき、この仕様変更を把握していないと誤解しがちですので、主要な変更点についてリストしてみました。
古いバージョンの画面は 「アトリエどどど」の「ぺいんたこれくしょん」 で見られます。メニュー内容も確認できます。また、古いバージョンの内容について、「アトリエどどど」の画面キャプチャを参考にさせていただきました。
重大な仕様変更
レイヤーマスクが独自仕様から Photoshop 互換に
Painter 7 までのバージョンでは、「マスクパレット」に保存される「アルファチャンネル」相当のものを「(ユーザー)マスク」、レイヤーの不透明度に相当するものを「表示マスク」と呼んでいた。レイヤーの一部を隠すには「表示マスク」を編集する仕様。反対に透明部分を表示マスクの編集によって見えるようにすることもできた。
Painter 8 でユーザーインタフェースが Photoshop 寄りになるとともに、「レイヤーマスク」が Photoshop 互換となった。すなわち、レイヤーの一部を隠すのに、レイヤーマスクを作成して編集する、という仕様になった。「レイヤーマスクを適用」すると以前と同じ結果になるが、いったんレイヤーマスクを適用して透明にした部分を再度表示することはできない。
これに並行して以前の「ユーザーマスク」は「チャンネル」という名称に変わった。
ブラシファイルが独自形式から XML 形式に
Painter が MetaCreations から Corel に譲渡された直後の Painter 7 で、ブラシ設定を保存するファイルが、独自形式バイナリから XML ファイルに変更になった。これにより、個別のバリアントの移動が簡単になるとともに、それまで Macintosh と Windows でブラシをやりとりするときに形式変換していた作業も必要なくなった。
XML ファイルはテキストファイルなので、テキストエディタによる内容確認や、複数のバリアントの比較がしやすくなった(個人的に大歓迎)。その後、「ブラシ履歴」や「カスタムパレット」など、設定関連の他のファイルのいくつかが追加で XML 形式となった。
「水彩」と呼ばれるものの内容変更
Painter 6 まで人気もありよく使われていた水彩(旧水彩)が、Painter 7 で完全に仕様変更になり、以前のものは使えなくなると同時に、専用レイヤーに描く、まったく挙動が違うもの(新水彩)が搭載された。ユーザーからの抗議にこたえて Painter 8 でデジタル水彩を追加で搭載。このデジタル水彩がさらに Painter IX で挙動変更され、やっと旧水彩に近いものに。Painter 12 ではさらに「リアル水彩」(これも水彩レイヤーに描画)が追加になり、水彩関係は、現在「水彩」(新水彩)、「デジタル水彩」、「リアル水彩」とあるので、Painter の水彩が話題になっているときは、どの水彩の話かみきわめる必要がある。
フローターから透明レイヤーへ
Painter X2 以来、Painter ではひとつのファイル内に複数イメージを保持して合成するために「フローター」(キャンバスから浮いているもの、という意味)を使っていたが、これは新規に描画するには向いていず、外から取り込んで合成する過程で使うものだった。
Painter 5 では「透明レイヤー」の作成と、特殊なプラグインブラシによる透明レイヤーへの描画(着色とレイヤー上の不透明度の作成を同時に行う動作)が可能になったが、ほとんどのブラシで透明レイヤーに描けるようになったのは Painter 6 から。
各バージョンの新機能
Painter 12
2011 年。Windows 版は Vista および Windows 7 の 64bit 版に対応した 64bit 版(OS に合わせて自動的に選択してインストールされる)が供給された。処理は 32bit 版、Macintosh 版も含め、マルチコア対応となった。
独自仕様のインタフェースから、より OS 機能を有効に使ったインタフェースに移行。独自仕様ならではの操作性は失われたが、複数ライブラリを同時に開いておける、など全体的に見れば機能強化。これに関連して、大きく拡げられるナビゲータ、随時呼び出しができる Temporal Colors パネル、大幅機能強化されたカスタムパレットなど搭載。パネルの内容も以前のバイナリファイルではなく、XML ファイルによるものがほとんどになった。
ブラシエンジンはリアル水彩とリアルウェット油彩が水彩のサブカテゴリとして追加になったほか、ブラシコントロールの一般セクションに Use Stroke Attributes というオプションが追加になって、これは古いタイプの「描点」にしか適用できないが、レイヤーの合成モードと同じだけの種類の描画モードが選択できる、という応用範囲の広い機能追加。
ミラーペインティングと万華鏡ペインティングも新規搭載。ブラシクリエータはなくなった。
詳細は Painter 12(英語版)速報 へ。
Painter 11
2009 年。効果メニューの下にあった「変形」関係を独立した変形ツールに分離。一連の作業がわかりやすくなった。
ブラシエンジンではマーカーを新規搭載。ひとつのストローク内では色の重なりが起きないブラシ。デジタル水彩の応用のような印象。同時に形状コントロールにハードメディアを追加。鉛筆を立てたり寝かせたりで線が変化するのをシミュレートできるようになった。
RIFF ファイルのサムネイルがファイルそのものに埋め込まれるようになり、Windows でもエクスプローラやビューワから RIFF ファイルの内容が確認できるようになった。(これ以前は Windows ではファイルの保存フォルダに PREVIEW.PIX を作成することで Painter のブラウジング画面からの内容確認を可能にしていた。Macintosh 版では PICT データ を RIFF ファイルに内蔵させていたが、プレビューサイズは小さかった。)
詳細は Painter 11 の新機能 へ。
Painter X
2007 年。ブラシエンジンでは混色キャメル系統(「混色キャメルヘアー」と「混色フラット」)の追加。これはキャメルヘアー的に描画するものの、色の設定はアーティストオイルのブラシコントロールパレットから行う。同時に追加されたリアルブリスルブラシコントロールでキャメル系全般をよりリアルに筆のしなりも考慮してシミュレートできるようになった。これに関連して、ブラシカーソルがスタイラス(タブレットペン)の方向や傾きも表示できるものになった。
Mac OS 版は Intel Mac 対応。Windows Vista 対応。
その他、発売当時の情報は Painter X (英語版)速報 へ。
Painter IX.5
2006 年。Painter IX からの無償アップグレードバージョンではあるが、IX.5 の店頭パッケージも発売された。
Painter Essentials 3 で先に搭載されたフォトペイント機能を新規搭載。これは Painter の基本機能であるクローンとブラシの自動再生をうまく組み合わせて使いやすくしたもの。スマートブラーもここで「下塗りペインティング」のパレットに搭載。
消しゴム を別のツールに分離。Photoshop のようにキーボードショートカットで消しゴムとブラシを切り替えることができるようになった。
発表当時の情報は painter log / Painter IX.5 日本語版発表 へ。
Painter IX
2005 年。Painter IX で OS のログインユーザーごとに設定やカスタマイズ結果が保存されるようになり、これに伴ってユーザーデータが Painter をインストールしたフォルダではなく、ユーザーフォルダに保存されるようになった。バックアップ時にユーザーフォルダの位置を把握していないと混乱するが、設定ファイルが壊れたときにもアプリケーションフォルダから新しくコピーされるので、修正のためにインストール CD を使う必要がなくなった。
起動時に Painter による作品例を表示する Welcome Screen がまず立ち上がり、ここからテンプレートを呼び出せるようになった。
ブラシコントロールパレットが復活。ブラシクリエータ画面に切り替えることなく、ペイント作業をしながらブラシ設定を変更できるようになった。
ブラシエンジンではアーティストオイルを新規搭載するとともに、デジタル水彩が仕様変更され、キャンバスや通常レイヤー上に特殊な見えないレイヤーを生成して描画するようになった。この特殊レイヤーはファイルをいったん閉じても残り、旧水彩と同じような使い勝手が復活した。
カラーセットを実際の油彩絵具の色や色名にそったものにバージョンアップ。
ブラシツールの描画に、フリーハンド、直線、に加えてパスをなぞるモードが追加された。これはシェイプを用意しておくと、それに沿ってのみ描画できるようになるモード。正確な線を表情をつけて描くことが可能になった。
合成モードが「デフォルト」ではないレイヤーも結合できるようになった。ただし結合されるレイヤーどうしの兼ね合いもあり(結合後は合成モードが「デフォルト」にもどる)、結合を実行すると見た目が変化することが多い。
「環境設定」のなかに「キー設定」という項目が新設され、ほとんどの機能に自由にキーを割り当てることができるようになった。
縮小表示時に基本的な倍率でアンチエイリアス表示できるようになった。
ブラシカーソルは Painter 8 より前の三角形のものがまた使えるようになり、その他にも種類が増えた。
発売当時の情報は Painter ワークショップ の Painter IX 速報、Painter IX 詳細情報 (1)、Painter IX 詳細情報 (2) を参考にしてください。
Painter 8
2003 年。インタフェースの全面的変更により、それまでの「コントロール・パレット」が Photoshop のオプション・バーに似た「プロパティバー」に置き替わり、表示される項目は、特にブラシツール使用時には増えた。同時に、それまではグループごとに所属が決まっていた各パレットは、ひとつずつ切り離して自由にグループ化したり、表示をオン・オフしたりすることができるようになった。
ブラシコントロールパレットがなくなり、ブラシのカスタマイズはブラシクリエータを使う仕様になった。ブラシクリエータは通常の描画画面と切り替えになるため、描画作業をしながらブラシを調整することができなくなり、以前からのユーザーに不評。
インタフェースの変更に伴い、いったんカスタムパレットがなくなったが、8.1 で他のパレットと同じ形式になって復活した。また、このバージョンではブラシカーソルが三角形から小さなブラシのアイコンに変更になった。
いっぽう、Painter 6 までの色混ぜが楽な旧水彩の復活を求める声にこたえて、デジタル水彩が新規搭載された。ただし、Painter 8 のデジタル水彩はこのバージョン独特のもので、「キャンバスや通常レイヤーに描画でき、感触は旧水彩に似ているが、いったんファイルを閉じると乾燥される仕様。また、Painter 6 までのブラシファイルを読み込むと、旧水彩がデジタル水彩にコンバートされるようになった。
発売形態の変化としては、製品の CD-ROM がハイブリッド版(Macintosh 版と Windows 版を同じ CD-ROM に収録)になったことがある。登録キーも共通となり、これ以後ユーザーは作業プラットフォームを移動したときも Painter を使い続けたり、新規購入ではなくアップグレードで新しいバージョンを使うことができるようになった。
発売当時の情報は Painter ワークショップ / Painter 8 ここが変わった へ。
参考 ― Painter 8 画面キャプチャ
Painter 7
2001 年。開発・販売が Corel Corporation になってから最初のバージョン。Painter 7 で Painter 6.1 パッチの小さな改良が正式採用になったほか、ブラシファイルが独自形式のバイナリから XML ファイルになった。また、コンテキストメニュー(右クリックメニュー)でブラシのバリアントを持ち替えたり、それぞれのツールに合わせたコマンドを選んだりできるようになった。
ブラシ関連では、特殊レイヤーを使う画材として「リキッドインク」と「水彩」が追加になった。(この「特殊レイヤーを使う水彩」は Painter 6 までの「水彩」ではまったく違う種類のもので、このサイトでは便宜上新水彩という用語を使い、Painter 6 までの旧水彩と区別しています。)
ブラシのファイル形式が XML になっても、以前のバージョンの BRS ファイルはインポートすれば XML に変換して使うことができる。ただし、旧水彩ブラシについては新水彩に変換されるので、このバージョンでは使えない。
発表後に旧水彩の復活を求める声が強く、アップデートにより水彩ではないが描き味を旧水彩に似た「ティント」ブラシが追加になった。既存のブラシエンジンのカスタマイズで旧水彩に似せたものだったが、着彩に使いやすいベーシックなブラシとして今も人気。
以前のダイナミックレイヤーがレイヤーパレットに統合され、レイヤーパレットのツールボタンから「ダイナミック・プラグイン」として使えるようになった。テキストツールは、以前のダイナミックレイヤーの機能が統合されてわかりやすくなり、フォント数が多いとテキストツールの起動に時間がかかる問題も解消されたが、Windows では「言語ロケール」で英語を導入して切り替えないと欧文フォントが選択できない、という問題あり。
その他に、ドキュメントウィンドウの左下にズームスライダがつき、倍率が無段階になった、テクスチャの設定に「方向テクスチャ」が追加された、など。後者はテクスチャの濃淡がそのままブラシ描画の濃淡に反映されるのではなく、濃淡が凹凸であるようなブラシへの作用を目指したものだが、それほど差がわからなかったのであまり評価もされず。
発売当時の情報は Painter ワークショップ / Painter 7 変更点の概要 へ。
参考 ― Painter 7 画面キャプチャ
Painter 6
1999 年。このバージョンで透明レイヤーを本格搭載、既存のほとんどのブラシが透明レイヤー対応になった。しかし、ここまでのブラシは(プラグインをのぞいて)本来キャンバスという不透明な面に描画するツールとして開発・完成されており、透明レイヤーへの描画は色を乗せる動作に後からレイヤーに不透明部分を作る動作が後付けされているため、Photoshop の機能がシンプルなブラシと比較した場合、透明レイヤーへの対応はかえって不完全であるような印象を与える原因になった。
ブラシ面では「描点の種類」へのレンダー処理系(ラスターデータの領域内を塗り潰すのではなく、ストロークに沿って計算して描画する)の描点の導入が新しい。ブラシカテゴリではレンダー(ソースに「色」のほかに「グラデーション」、「反復グラデーション」、「パターン」、「マスク付きパターン」、「パターンの不透明度」が設定できる)とキャメルヘア系統(キャメルヘアー、フラット、ブリスルスプレー、パレットナイフ)、エアブラシ系統(エアブラシ、エアブラシ<ピクセル>、エアブラシ<線状>、エアブラシ<楕円>)がこれにあたる。この結果、「油彩」関連ブラシに多数のキャメルヘア系バリアントが導入され、パターンペン、グラデーションペンなどが実現可能になった。また、インパストがプラグインレイヤーから通常のブラシに統合され、インパストに関係する「キャンバスの照明」はキャンバスメニューに入れられた。
パレット類がどちらかと言うと Photoshop 的に複数のものが重なる形式だったものから、タイトルバーのみに畳むことができるが縦にずらりと並ぶその後の形式に変更になった。この変更によって、たとえば「カラー」パレットと「テクスチャ」パレットの同時表示が可能になった。また、Painter 6 と Painter 7 では、パレットを畳んだときにそのタイトル部分にそのパレットの最重要項目が表示され、かつ、数値などはドラッグで変更できるという特殊な仕様になっていた。
ダイナミックレイヤーにテキストを扱うものが追加になり、ここに入力したテキストは、文字列やトラッキング(文字スペース)などが再編集可能なレイヤーに保持され、また、テキストのベースラインがベジエカーブになって、シェイプ編集用のツール群で編集できるようになった。
Painter 6.1 (英語版のみのマイナーバージョンアップ)では、効果に「木版効果」が追加され、「シャープ」、「ソフト」、「ハイパス」でガウス分布による計算を選択できるようになった。また、レイヤーのオプションに「下の色を拾う」が追加になった。
Painter 6 以前のバージョンでは、ブラシに変更を加えたときに「ブラシを作成」してブラシデータの一時ファイル(Pre-Built Brush File)を作る必要があったが、Painter 6 でこの作業が自動化された。ブラシゴーストの表示が可能になったのも、このバージョン。
Painter 6 の発売後に Painter は初期開発者のいた MetaCreations から Corel Corporation に譲渡され、Painter 6 のスプラッシュスクリーンには MetaCreations のものと Corel のものと、2 種類ある。
参考 ― Painter 6 画面キャプチャ
Painter 5
1997 年。プラグインレイヤー(ダイナミックプラグイン)としてリキッドメタルや「勾配」、各種のプラグインブラシが追加。「インパスト」(盛り上げ塗り)もこの時点ではプラグインレイヤーだった。
新しいプラグインブラシの一種を使うという制限があったが、透明レイヤーを作成してそこに新規で描画できるようになった。また、クローン機能が高度になり、リファレンス・ポイントを設定して変形しながらクローンすることができるようになった。
フローターメニューから新規で「透明レイヤー」を作成することができたが、通常のブラシでは透明部分に描画できず、この目的のために新しいプラグインブラシの中に「透明レイヤーブラシ」が用意された。
1998 年にはウェブ向けの機能を強化した Painter 5.5 Web Edition が発売された。
Painter 4
1996 年。インターネットを利用するネット・ペインター機能と、JPEG および GIF ファイル形式への対応。モザイク作成機能(写真にモザイクをかけるのではなく、モザイクの断片となるタイルを作成してそれに色を割り当てるという作業をストロークの線で制御する機能で、Painter 独自のもの)。リファレンス・レイヤーを使ったリアルタイムプレビューのある自由変形。
アート素材に「パターン」が追加され、シームレスパターンがライブラリとして付属するようになった。また「パターンの取り込み」のダイアログに横方向・縦方向でのずらしオプションが追加された。
パス(パスベースの選択範囲)編集ツールがシェイプを編集するツール群に昇格。テキストも選択範囲ではなくシェイプとして作成されるようになった(まだ編集しやすいテキストレイヤーではなく、パーツごとのシェイプ)。シェイプ関連のコマンド(「複製」や「ブレンド」など)が追加された。
シェイプのリストと並行してパスリストが存在した。
フローターの合成方法に、通常、ディザ合成、乗算、スクリーン、オーバーレイ、ソフトライト、ハードライト、比較(暗)、比較(明)、差の絶対値、色相、彩度、色相と彩度、輝度が追加になった。
Painter 3
1995 年。カラーサークルの中にカラートライアングルという Painter 独特のカラーピッカー導入(それ以前は、一時「スモールカラー」として搭載されていた、カラーサークルなしでカラートライアングルの下にカラーバーがあるタイプ)。ブラシでは描点の種類に「ブリスル」を、ストロークの種類に「イメージホース」(ノズル使用・ノズルは 3 ランクに対応)を追加。編集できる高度なグラデーション、テキスタイル、キャンバスの回転、キャンバスサイズ変更、イメージワープ、ドロップシャドウ、など。また、ムービー機能を搭載。
このバージョンではブラシ手法にマスクに直接描画するためのカテゴリが追加されたが、このころのバージョンでは「マスク」すなわち「アルファチャンネル」であり、これが有効になった状態が「選択範囲」にあたる。最近のバージョンではたいていのブラシでレイヤーマスクやアルファチャンネルに描画できるので、特殊なブラシは使わなくなった。
Painter 3 のフローターの合成方法は、デフォルト、フィルタ、モノクロ/カラー変換、反転、シャドーマップ、マジックコラージュ、擬似カラー。
この時点で Photoshop の汎用プラグインに対応ずみ。
アート素材にテキスタイルが追加され、ブラシにはイメージホースとその専用素材のノズルが追加になった。
パターンについては、選択範囲がある状態でメニューから Tools > Patterns > Capture Pattern を選択することで上下左右に繰り返すパターンデータになり、塗潰しに使ったりできる機能がついた。パターンデータへの加筆も可能ではあるが、パターンをライブラリとして管理する機能はまだない。
Painter 2
1993 年。ブラシでは描点の種類に「マルチストローク」(レーキ)を追加、および、水彩の拡充で「水彩塗り混ぜ」手法を追加。カスタムパレットの前身であるライブラリアイテムの Tear Off、効果のプレビュー、リサイズ機能、マジックワンド、印刷色プレビューなどを導入。この時点で Photoshop 形式ファイルの読み書きができた。
複合ブラシ(ブラシとアート素材の組み合わせプリセット)の導入。ブラシストローク・デザイナーというブラシおよび複合ブラシカスタマイズ用のテスト・ウィンドウ搭載。
Painter 2X でその後のレイヤーに相当する「フローター」が導入される。ペイント系プログラムで最初のレイヤー搭載とのこと。
Painter 1
Fractal Design が 1991 年に発表。主な開発者は Mark Zimmer と Tom Hedges。業務用の高価なグラフィック・ソフトウェアであった ColorStudio (1991 年の MacUser 誌 Editor’s Choice Award の Color Prepress 部門賞受賞 *1)の技術をベースに、パーソナル・コンピュータ向けに本物の画材をシミュレートすることを主眼に開発されたソフトウェア。1991 年 8 月の Macworld Expo で Mark Zimmer が実演してみせた。これに感銘を受けた John Derry がその後開発チームに合流。Painter 1.2 でその後人気の水彩(旧水彩)を搭載。
ブラシストロークを記録・再生する「スクリプト」機能、クローンソースを透かして表示する「トレーシングペーパー」機能は最初からついていた。
当時の販売は Letraset 社(スクリーントーンや切り張り用文字シートの販売がメインの会社)。
*1 この年の Editor’s Choice Award のソフトウェア部門賞が Photoshop(初代)だった。
Painter 1 から Painter IX までの歴史については、Painter IX 付属の「ハンドブック」に概要があります。
手持ちの参考資料 ― Painter 2 以降全バージョンのユーザーガイドなど。複数バージョンの Painter WOW! Book。Painter 初期に発行されていた Artistry Magazine(印刷物ニューズレター)。Painter 2 ユーザーマニュアルとコンパニオンは海外古書店から買いました。
参考 ― Painter (Wikipedia)
(2011/05/20 - 2011/09/29)