2011 年 5 月 11 日に Painter 12 が公開となり、アメリカ向けの公式サイト ができました。注目すべき新機能などは同サイトで配布されている Reviewer’s Guide(PDF ファイル)で確認できます。以前のバージョンから追加になった機能については、同じく Compare Versions が比較リストです。
同じページの Features のタブを開くと、機能一覧とそれぞれのムービーによる説明があります。New! という文字がついているのが Painter 12 での新機能です。
また What’s new in Corel Painter 12 というムービーも用意されていますので、英語ではありますが、このムービーとその関連動画を見ておくと新機能が把握しやすいと思います。
公式サイトの「Free Trial」のタブを開いたページから試用版がダウンロードでき、機能制限なしで 30 日間使えます。
システム要件は次のとおり。
1 GHz より高速な CPU。
RAM は 1 GB 以上。
600 MB のディスクスペース(アプリケーション本体用)。
マウス、あるいはタブレット。
24ビットカラーディスプレイ環境。
1024 x 768 より広いスクリーン。
DVD ドライブ。
Microsoft Internet Explorer 7 以降のバージョン。
Intel Core Duo 以上。
RAM は 1 GB 以上。
300 MB のディスクスペース(アプリケーション本体用)。
マウス、あるいはタブレット。
1280 x 800 より広いスクリーン。
DVD ドライブ。
Windows 版では Microsoft .NET Framework 4.0 を使用するので、これのインストールにもディスクスペースが追加で必要になることがあります。
うちの PC は Windows XP で IE は 6 ですが、とりあえず問題なく動作しているようです。
Windows 版には 64bit バージョンが用意されました。動作はおおむね良好のようです。今回のリリースでは残念ながらMac OS 版の 64bit バージョンはありません。
Painter 12 のアップグレード版は Painter X あるいは 11(アカデミック版、その他の非商用バージョンは除外)を持っているユーザーが対象となり、以前より対象が狭くなっていますね。
試用する場合、あるいは購入した場合、追加コンテントのダウンロードもお忘れなく。公式サイトの Resources のコーナー から Extra Content のページに行くと、ダウンロードできます。
Extra Content ファイルをダウンロードした場合は、Workspaces は含まれていますので、さらに Workspaces をダウンロードする必要はありません。Windows 版の Extra Content は自動解凍のインストーラですが、必ず C:\Program Files\Corel\Painter12\ の下にインストールしてしまうというバグがあるようですので、ファイルがなかったらここを探してください。
新機能リスト
以下、Reviewer’s Guide で新機能として挙げられているものを書き出してみました。(別途、もう少し詳しく解説予定です。)
- 全面的にユーザーインタフェースが変更になりました。たぶん「前より Photoshop っぽくなった」と言えると思います。複数のパネルをひとつの枠に重ねて入れて、タブで切り替える、という動作ができるようになりました。
- ウィジェットだった Navigator が独立したパネルになって大幅強化。Photoshop のナビゲータのように大きく広げることができるパネルで、ズームイン・ズームアウトのボタンもついています。絵の全体を確認しながらの細部の作業がしやすくなりました。
- ライブラリ機能の強化 ― わかりやすいドラッグ&ドロップでライブラリの編集(アイテムの並び順変更含む)ができ、使わないアイテムを非表示にしておくのも簡単。それぞれのアート素材について複数のライブラリを同時に開いておくこともできます。
- ブラシセレクタが完全に新しくなって、カテゴリ > バリアント の一覧性が上がり、選択しやすくなりました。
- Temporal Colors palette という、随時カーソル位置に呼び出して、色を選択したらキャンバスをクリックすることで消えるカラーホイールが搭載されました。デフォルトの呼び出しキーは Alt + Ctrl + 1 (Mac OS では Command + Option + 1)です。
- カスタムパレット機能の強化 ― ブラシバリアントも、用紙テクスチャはじめアート素材も、Shift + ドラッグでカスタムパレットに登録できます(今回、Shift 併用により、意図していないのにカスタムパレットができてしまうのを回避するようになりました)。コマンドの登録の対象となるコマンドが増え、ほとんど何でもカスタムパレットにしておけます。また、コマンドもアイコン表示にして、好きなアイコンを割り当てることができます。
- 新規イメージにプリセットが登録できるようになりました。
- High Quality Display をオンにすると、縮小時も拡大時もキャンバス回転時もなめらかな表示が可能になりました。手のひらツール、拡大鏡ツール、キャンバス回転ツールで共通になったプロパティバーの右端のアイコンです。二つ似たようなものが並んでいる左側。水色がオンになっている状態です。
- 「描点の種類」に Computed Circular という円形のエッジの濃淡を無段階で設定できるものが追加になり、それに対応するブラシコントロールパネルも追加。
- 以前からある Alt + Ctrl 押し下げ(Mac では Command + Option)によるブラシサイズ変更が強化され、最初の状態からさらに Ctrl(Mac では Command)を押すたびに、サイズ変更 > 不透明度 > 厚み (Squeeze) > 角度 と切り替わって複数のパラメータを変更できるようになりました。
- スマートブラーが「アンダーペインティング」から独立して「効果」メニューに追加となりました。
- ブラシ描画がマルチコア対応になりました。ブラシコントロールの General(一般)パネルからオン・オフできます。(マルチスレッド化そのものにも計算が絡むこともあり、常にマルチコアのほうが軽いとは言えないそうです。)
- ミラー(鏡像)ペインティングとカレイドスコープ(万華鏡)ペインティングを新搭載。
- クローン機能が大幅に見直され、クローンソース管理を独立したパネルからまとめて行えるようになりました。クローンソースもファイルの一部として取り込まれるので、ソースを見失うことがなくなりました。
- サンプルが Gel カテゴリと Airbrush カテゴリに入っている合成モード描画機能の追加。Photoshop の基本的なブラシにたいへん近い、ひとつのストロークを描いている間は重ねても色が濃くならないブラシが作れるようになりました。
- これまでの水彩と違って粒子がなく、設定によっては水彩境界もそれなりに生じるリアル水彩ブラシの搭載(水彩レイヤーに描画)。
- 溶油のにじみをシミュレートするリアルウェットオイルブラシの搭載(通常レイヤーに描画)。
なかなか盛りだくさんな内容です。で、落ちないか……、というと、やっぱり落ちるときは落ちます。特に新しい機能や負荷をかける機能は要注意。新搭載のリアル水彩やリアルオイルブラシなど、重い処理が連続になる機能を使う場合は、CPU モニタを表示しておいて、CPU 負荷がいったんとぎれてから次のストロークを描くようにすると、原理上ちょっと安全になります。
Windows 版ではインタフェースは Microsoft .NET で構成されているようです。システム環境に影響される部分が増えたかもしれません。わたしの環境ではときどきひっかかったように反応がなくなることもあります。分単位で待てば復帰しますが。パネルの表示のアップデートが追いつかず、ブラシの設定その他、実際と違う表示になることもあるようなので、要注意。
Charako さんによる スクリーンキャプチャ入りの新機能解説 もどうぞ。
(2011/05/14)