ファイルの形式
Painter のブラシ定義が XML ファイルになったのは Painter 7 からです。それまではすべての項目を同時に開いて見ることができないバイナリファイルでした。Painter 7 以来、バージョンアップごとにブラシに新しい要素が加わり定義項目が増えてきていますが、大項目は同じで上位互換があります。「painter-brush-definition」で始まる定義には、下の表のような大項目があり、その中に XML のルールに従って各項目のタグがあって、設定内容が格納されています。
XML ファイルのほかに、描点がキャプチャ画像のものは、その画像データがファイル名の本体部分が同じ JPEG ファイルで存在します。また、ファイルの名前の本体部分が同じ NIB ファイルと STK ファイルは、ブラシバリアントをリスト表示するときに使うアイコンとストローク用のデータです。後者 2 つは、存在しない場合は Painter が自動的に生成します。
この定義ファイルの正しい格納場所については、配布ブラシの追加方法 を参照してください。
設定項目
各セクションの項目数のバージョンごとの推移はこうなっています。より後のバージョンで追加された項目は、それより前のバージョンの Painter では起動時にエラーを生じるので、新しいバージョンから古いバージョンにブラシの XML ファイルを持っていくときには、古いバージョンに合わせて項目を削除する必要があります。
セクション | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
---|---|---|---|---|---|
format-control | 2 | 2 | 2 | 4 | 4 |
brush-type | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
physical-brush | 19 | 19 | 20 | 27 | 37 |
dab-application | 24 | 24 | 34 | 34 | 38 |
stroke-path | 15 | 14 | 14 | 14 | 14 |
color | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
cloning | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 |
well | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
realtime-expression | 19 | 32 | 32 | 32 | 33 |
plugin | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
interface | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
合計 | 110 | 122 | 133 | 142 | 157 |
以下、項目の変遷についての注釈。
- 最後の「インタフェース」の項目は、Painter 7 までの「コントロールパレット」にブラシの設定項目から 2 つまで選んで常に表示しておくことができる(カスタムコントロール)、という機能の痕跡。現在はプロパティバーに複数のブラシパラメータが表示されるようになり(種類は選べない)、この設定は意味がなくなっている。
- Painter 7 で「新水彩」と「リキッドインク」が搭載されているので、すでにここで「dab-application-parameters」のパラメータは Painter 6 で内部的に持っていた数から 15 項目くらい増えている。
- Painter 8 より前は「方向」によってブラシのコントロールをする場合、すべての要素を同じ「方向」設定でコントロールすることしかできなかったが、Painter 8 でそれぞれの要素を別々の角度設定で制御できるようになり、一挙に表現セクションの項目がふえた。と同時に、従来「ストローク」セクションにあった(まとめてひとつしかない)「方向」の項目はなくなった。差し引き 12 項目の増加。
- Painter IX で「アーティストオイル」ブラシが追加され、その関連で描画に関する項目が 8 つ、ブラシ形状に関する項目が 1 つ、加わった。また、描画セクションに新水彩でのブラシの動きを軽くするための「ぼかし処理待ち」と、キャメルヘア系ブラシの処理を間引いて速度を上げる「ブースト」の項目が追加になった。
- Painter X で「ワークスペース」のカスタマイズが導入され、製品に付属するブラシバリアントの定義ファイルはすべて英語バージョンのものを使い、日本語版のブラシ名は変換リストを使って表示するようになった。これに伴い、「フォーマット」のセクションに substitution 関連項目が 2 つ追加された。
「リアルブリスル」という概念が導入され、そのためのパラメータ 7 項目がブラシ形状セクションに加わった。 - Painter 11 では、「ハードメディア」という概念が導入され、これに伴ってブラシ形状セクションにハードメディア関連項目が 10 項目追加された。
- 項目のみでなく、項目ごとに設定できる選択肢も少しずつ増えています。
Version 3 以降の Painter Essentials では、ブラシ設定の XML にプロテクトがかかっているようで、ファイルをコピーしてカスタマイズすることでバリアントを増やすことはできません。
バージョン間で違う行・一覧
Painter 11 から Painter X、さらにその前へとさかのぼっていったとき、削除しないとエラーになる行のリストです。項目だけでなく選択肢にも互換性のないものがあることにも留意してください。
冒頭のバージョン番号やブラシ名の定義は、いまのところ Painter が読み込むときに実際にデータとして使っていないようなので、変更しなくてもエラーになりません。
Painter 11 から Painter X
「physical-brush-parameters」の中、論理行で数えて次の行。
28 min-x-squeeze 29 min-y-squeeze 30 max-x-squeeze 31 max-y-squeeze 32 squeeze-log 36 use-feature-map 37 min-feature-map 38 max-feature-map 39 min-feature-rad 40 max-feature-rad 62 min-grain 63 max-grain 88 transition-start 89 transition-finish 169 velocity-bias
Painter X から Painter IX
冒頭と physical-brush-parameters の中。
5 substitution-table 6 substitution-index 41 dm-fanness 42 dm-roundness 43 dm-profile 44 dm-length 45 dm-rigidity 46 dm-friction 47 dm-height_min
Painter IX から Painter 8
「dab-application-parameters」を中心に次の行。
30 oil-profile 65 delayed-diffuse 66 boost 67 oil-load 68 oil-viscosity 69 oil-blend 70 oil-bristling 71 oil-clumpiness 72 oil-trailoff 73 oil-wetness 74 oil-dirty-mode
Painter 8 から Painter 7
まず、次の「direction」関係の行を削除します。
118 direction-angle 119 direction-bleed 120 direction-color 121 direction-depth 122 direction-feature 123 direction-flow 124 direction-grain 125 direction-jitter 126 direction-opacity 127 direction-rank 128 direction-resaturation 129 direction-size 130 direction-volume
その後、論理行で 68 行目に「[タブ][タブ] direction="0.0"」という行を挿入します。
基本的に XML ファイルを並べて目で見て比較しただけなので、間違いなどありましたら指摘してください。
それぞれの項目の意味などについては、また別ページで書く予定。Painter 8 までの XML 項目解説は JUMA さんの 梅の実 にあります。
2009/06/27 ― Painter 11 での追加項目で抜けていた部分を修正。
(2009/06/21 - 2009/06/27)