プラグインブラシの種類と効果

プラグインブラシについては、ヘルプやユーザーガイドにも詳しい解説がないので、実際に挙動を観察してまとめました。Painter X と Painter 11 の日本語版では、プラグイン手法のサブカテゴリの日本語が一部間違っているので、正誤表 も確認してください。

手法プラグイン が選択できるのは、描点の種類 が 円形、1ドット、ブリスル、取り込み のどれか(「描点ベース」のブラシ)であるときのみです。

リストの順は Painter 11 のサブカテゴリのプルダウンリストに表示される順。各項目の解説の最後の 太字 の部分は、わかりやすく効果を言い換えてみたものです。

プラグインブラシの効果の出かたは 強さ (不透明度)と 粗さ (テクスチャの出かたとは関係ない、2 つめの強さコントロール)の設定によります。それぞれで動作が違のでわかりにくく、粗さ の設定が無効のものもあり、実際に試しながら設定する必要があります。(下記の個別解説で 粗さ の設定に言及していない場合は、試してみて 粗さ 設定が無効と判断したものです。)

強さ粗さ には 表現設定 を組み合わせることもできます。(他のブラシをベースにバリアントを作成するとき、意図せずに表現設定がオンになっていてよくわからなくなることがあるので注意。)

Glow Brush / グロウブラシ

  • 選択された色を乗せながら、明度を上げる。
  • 元の色より必ず明度が上がる。カラートライアングルの下辺に近い色を選ぶと効果的。
  • 色つき発光効果。

Graphic Print Brush / グラフィックプリントブラシ

  • 明るさのコントラストを上げ、彩度を上げ、細部を滑らかにする。
  • 鮮やかで平坦になり、細部は溶ける。

Overlay Brush / オーバーレイブラシ

  • 明るさのコントラストを上げ、彩度を上げる。細部はコントラストの強い粒子になって残る。
  • 鮮やかで平坦、細部はギザギザ。

Hue Brush / 色相ブラシ

  • 選択色の色相に変える。「補充量 0」のときはストロークの開始点の色相をひきずって広げる。
  • 色相を部分的に均等にする。

Hue Add Brush / 色相追加ブラシ

  • カラーホイールの円環を反時計回り(左回り)で順に色相を変えていく。
  • 一定の順序で変色。

Hue Sat Brush / 色相彩度ブラシ

  • 選択色の色相と彩度に合わせて色を変える。「補充量 0」のときはストロークの開始点の色相と彩度をひきずって広げる。
  • 色相と彩度を部分的に均等にする。

Sat Add Brush / 彩度追加ブラシ

  • 彩度を変える。粗さの 50% を中間点 (0) として、値が大きければ彩度を上げ、小さければ彩度を下げる。(「粗さ」に筆圧などによる表現が設定されていると、効果が揺れるので注意。)
  • 彩度を上げたり下げたり。

Val Add Brush / 明度追加ブラシ

  • 明度を上げる変更する。不透明度の 50% を中間点 (0) として、値が大きければ明度を上げ、小さければ明度を下げる。ただし 0% では無効。
  • 色の明るさを変える。

Val Add Sat Sub Brush / 明度追加+彩度低減ブラシ

  • 不透明度の 50% を中間点 (0) として、値が大きければ明度を上げ、小さければ明度を下げる。同時に彩度を下げる。
  • 明るさを変えながら彩度は下げる。

Bulge Brush / ふくらみブラシ

  • なぞったところだけ、ブラシの形に「ふくらみ」効果をかける。ブラシチップの形状によってふくらみが変わる
  • 透明ガラス盛り上げ。

Deep Well Brush / 球体ブラシ

  • 円形のブラシでひとつずつ置くと透明球体が手前にあるような効果。(周囲まで取り込んで円形に歪める)。ブラシチップの形状によってふくらみが変わる。
  • 手前にガラス玉。

Diffuse Motion Brush / 拡散(モーションブラー)ブラシ

  • ストロークの方向にそって粒子をひきずりながらぼかす。
  • 方向のあるぼかし。

Diffuse Pull Brush / 拡散(引っぱり)ブラシ

  • 少しぼかしながらこすったように色をひきずる。間隔 小 でひきずる粒子が細かくなり長さが伸びる。
  • パステルを指でのばしたような効果。

Horizontal Crease Brush / 水平ひだブラシ

  • ブラシが触れたところを中心に、周囲の画像を縦につぶしてブラシの下の絵を置き換える。
  • 横方向の溝。(横方向のストローク向き。)

Left Twirl Brush / 左渦巻きブラシ

  • ブラシが触れたところの画像を左向きの渦巻にねじる。
  • 同じ位置で繰り返すと続けてねじる。

Liquid Brush / リキッドブラシ

  • 下にある色をねっとりと引きずるブラシ。ねっとり感が「塗料」の「にじみ」による混色より油絵具っぽい。以前のバージョンから「サージェントブラシ」に使われている。
  • 普通のブラシのように使えるが、透明レイヤーに新しく描画することはできない。
  • 強さ (不透明度)が低いと下の色をひきずり(塗潰し ブラシの にじみ が強い状態)、0% では選択色がまったく出ない色をひきずるのみのブラシになり、100% では選択色のみを濃くペイントするブラシになる。
  • 粗さ が強いと下の色を歪めつつ強くひきずる。
  • ねっとり混色する油彩。 テクスチャは出ない。

Pinch Brush / つまみブラシ

  • 画像が埋め込んである柔らかいガラスを、ブラシ接地点の中心をつまんで持ち上げる感じに歪ませる。「ふくらみ」が丸く出っぱるのに対して、先端がとがった出っぱりができる。

Right Twirl Brush / 右渦巻きブラシ

  • ブラシが触れたところの画像を右向きの渦巻にねじる。

Simple Diffuse Brush / シンプル拡散ブラシ

  • 自然な感じに粒子を拡散させてぼかす。
  • 間隔 小 でぼかしの粒子が細かく滑らかになる。

Vertical Crease Brush / 垂直ひだブラシ

  • ブラシが触れたところを中心に、周囲の画像を横につぶしてブラシの下の絵を置き換える
  • 縦方向の溝。(縦方向のストローク向き。)

Add Grain Brush / テクスチャブラシ

  • 現在選択されている用紙テクスチャの明暗(モノクロ)でペイントする。

Blur Brush / ブラーブラシ

  • 周辺のピクセルとの差を減らしてピントがぼけるように柔らかにぼかす。ある程度以上に周辺と混じることはない。Photoshop の「ぼかしツール」に相当。
  • ソフトフォーカス。

Comb Brush / 櫛ブラシ

  • 画像の濃淡の境目の強さをもとに、ストロークに沿った方向で、細かい溝を入れる。溝の幅などの調節なし。
  • ちりめん皺効果。

Relief Brush / レリーフブラシ

  • 画像の濃淡の境界線にそって、細かい溝を入れる。
  • 輪郭優先均等皺効果。

Sharpen Brush / シャープブラシ

  • なぞったところだけ画像にシャープ効果をかける。ピクセル単位でコントラストを判断するので、強さを控えめにしないと、すぐに単なるノイズにまで変換されてしまう。
  • くっきりさせる。

Confusion Brush / 混乱ブラシ

  • ブラシが触れた部分(ブラシが丸くても四角形になるようだ)の内部で、現在あるピクセルの色を変えることなく、ピクセルを一定のパターンで入れ換え、位置入れ換えをしたピクセルを 強さ (不透明度)の程度に応じて元のピクセルと合成する。
  • ランダムな粒子のあるぼかし。

Scratch Remover Brush / スクラッチリムーバブラシ

  • ブラシの「描点」の下にある領域をサンプリングし、描点の中心から放射状にサンプリングした内容をランダムに散らすことで、領域をならして滑らかにぼかす。ブラシサイズを大きくすれば、少し大きい範囲を均等にならすことができる。
  • 粒子のないぼかし。

以前(2003 年)に作成したまとめをベースに、修正を加えました。Painter X 以降では個別のプラグインファイルは存在しないようです。

  • brushes/method_plugin.txt
  • 最終更新: 2011/03/05 14:00
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