
ストロークの記録は、通常のブラシだと細かく位置が記録されるのでデータが大きくなるが、ドローデータはアンカーポイントとハンドルの位置のみなのでコンパクト。ハートを描くのもペンツールのスクリプトなら短くてすむ。このスクリプトでハート形がひとつ描画される。サンプルは描かれたシェイプを選択範囲に変換し、グラデーションで塗り潰したもの。
pen_point p1x 250 p1y 180 p2x 250 p2y 180
pen_point p1x 340 p1y 100 p2x 400 p2y 100
pen_point p1x 400 p1y 240 p2x 370 p2y 320
pen_point p1x 250 p1y 380 p2x 250 p2y 380
pen_point p1x 100 p1y 240 p2x 70 p2y 160
pen_point p1x 160 p1y 100 p2x 220 p2y 100
pen_point p1x 250 p1y 180 p2x 250 p2y 180
このスクリプトコードの使いかたは こちらの解説 で。Painter X 以降は最後に空行を入れてください。

前に記録しておいたスクリプトも、その後また少し Painter 経験値が上がるとより Painter の機能を生かしたものに改良してみたり、ということがあります。今回紹介するスクリプトでは、ピクセルごとの輝度に基いた(色の明度そのものではなく、黄色を変換すると明るいグレーになる変換)を行うのに、作成したクローンはまず白で塗潰して、その後、「クローン元」の画像を参照して選択範囲を作れるという Painter の機能を生かした選択を実行、それを黒で塗潰しています。
clone
color red 255 green 255 blue 255
opac_fill_3 with 0 opacity 1.00000
color red 0 green 0 blue 0
generate_selection 5
opac_fill_3 with 0 opacity 1.00000
remove_selection

グリッド表示は便利です。が、開いているすべてのイメージに同じように適用されてしまい、始点の調節もできないといった制限もあります。また、Painter 6 まででは、グリッドを表示するとトレーシングペーパー表示と同じように、絵の本体の表示が薄くなってしまうという欠点もありました。
Painter 初期からある機能なので、あまり大きい改善がされていないといういう印象です。せっかく透明レイヤーがついて、レイヤー表示の不透明度も調節できるようになったんですから、これを利用してもっと自由にグリッドを表示してみたい。というわけで、「効果」-「特殊効果」の「グリッドペーパー」を使ってみました。新規レイヤーを作成してから実行します。
opac_fill_3 with 0 opacity 1.00000
grid_paper kind 1 offset x 0.000 y 0.000 spacing x 50.000 y 50.000 thickness 1.000 units x 1 y 1 thickness 1
grid_paper2 color red 128 green 128 blue 255 background_color red 255 green 255 blue 255
color_select hf 0.00100 he 0.00000 sf 0.00100 se 0.00000 vf 0.00100 ve 0.00000 red 255 green 255 blue 255 inv 0
clear
remove_selection
なぜ手作業で新規レイヤーを作成するか、というと、Painter のスクリプトでは新規レイヤー作成のときに現在のイメージサイズが記録されるので、これは「全選択」についてもそうなのですが、こういう要素を入れると汎用のスクリプトにならないからです。ちょっと残念。
このスクリプトでは、まずレイヤーを塗り潰します。塗り潰さないと「グリッドペーパー」が表示されません。透明なまま色のデータはグリッドペーパーになるのですが、古い機能なので「レイヤーの不透明度を編集する」という動作が入っていないのです。塗り潰し後に「グリッドペーパー」を作成して、さらに地色で選択してその部分を削除し、下が透けて見えるようにしています。
グリッドの間隔は 50 になっています。変更したいときはこの数字のあたりを編集してください。「グリッドペーパー」はキャンバス内蔵のグリッド機能とは違い、単なる画像になるので、図形描画などをグリッドに吸着させることはできません。

テクスチャのデータを使って画像を白黒 2 値に変換します。
上の画像(もとの画像の上に処理をかけた画像をのせて、右半分をレイヤーマスクで消去)は縮小表示状態ではモノクロ部分に濃淡があるように見えますが、クリックして原寸大で確認するとわかるとおり、処理自体は完全に黒のピクセルと完全に白のピクセルしか作成しません。
apply_screen using 1 threshold1 1.00000 threshold2 2.00000 red1 255 green1 255 blue1 255 red2 0 green2 128 blue2 0 red3 0 green3 0 blue3 0
using 1 は「テクスチャを使用」、using 2 は「画像の明るさのみを使用」、using 3 は「パターンを使用」となります。threshold1 の値で黒の分量が変わり、数値が増えれば黒が多くなります。適用する画像の濃淡によって設定を変えないとベストな結果にならないので、同じような画像で手作業でプレビューを見ながらスクリプトを記録するか、数値をメモして対応してください。ダイアログの 0% が 0.00000 に、100% が 1.00000 に、200% が 2.00000 にあたります。
絵を描かないと painter log を更新できない、だからほとんど更新が止まってる、という状況をなんとかしないと、なので、小ネタに逃げることにしました。Painter のスクリプト紹介です。スクリプトの概要と使いかたは 【 Painter ワークショップ – スクリプト機能の概要 】 を参照してください。
きょう紹介するのは、わたしが頻繁に使っている「クローンして 50% にリサイズしてシャープをかける」というものです。テキストファイルに保存して、スクリプトパレットのメニューの「スクリプトを開く」ダイアログから「インポート」を選んで読み込みます。「開く」は Painter 内部でスクリプトコマンドのリストを表示するものです。
clone
resize_image scale 0.50000
image_processor operation 1 aperture_type 0 amount 2.00000 highlight 0.50000 shadow 0.50000 sharpen_red 1 sharpen_green 1 sharpen_blue 1
上のものは Painter 7 (英語版 6.1)で追加になった「ガウス」モードを使っています。Painter 6.0 までのバージョンでは、最後の行(image_processor で始まる長い 1 行)は削除し、別途スクリプトを記録して編集・合成してください。また、スクリプトテキストの最後には、必ず「改行」を入れてください。Painter X 以降では、命令の最後の行のあとに改行を入れるだけでなく、さらに空行を 1 行追加する必要があるようです。

Microsoft に買収された Expression が、新たなリリースに向けてベータテスト中。当然ながら Mac 版はないし、Windows 版も XP 限定なので Windows 2000 マシンでは試すこともできない。うちでは Tablet PC が Windows XP Professional Tablet PC Edition なのでこっちで試してみた。
新規レイヤーを作成するときに、これまでと同じベクターレイヤーか、ビットマップレイヤーかを選択でき、ビットマップレイヤーにはピクセルベースの、いわゆる「普通の」ペイントができる。が、どうもこれがかなり重い。ピクセルベースであるとはいえ、イメージのピクセル数が最終的に決まるのは、TIFF、PSD、JPEG などに書き出すときらしい。それまで内部的にはもっと複雑な(あるいは非常に解像度の高い)データとして持っているのだろうか。
ビットマップ系のブラシは「Painter に昔からあるブラシ」みたいに次々に少し違う色を描画したり、複数の色が平行して描画されるストロークだったりするが、Painter を知っていると「重いだけ」な印象。以前からの Expression のストロークはやはりそれなりに面白い。ストロークを置いたあとに、ベクターデータへのビットマップテクスチャの適用のされかたを、シッポにあるハンドルで変更できたり、もちろんストローク全体のサイズも自由に変更できるのが、これぞデジタルの強み、という感じがする。
そういうわけで、やっぱりベクター系ブラシの水彩関係で。背景としてビットマップレイヤーを作成して塗り潰したものを置いたが、PSD にレイヤー保持でエクスポートしたら、ビットマップレイヤーだけ消えてしまったのは、バグかな。
[ BetaNews の記事 ] に直接ダウンロードできるリンクあり。

Painter 周辺調査というか、Corel が持っている技術の確認ということで CorelDRAW 12 Graphics Suite (英語版)を購入。いろいろ入っているのでお買い得感はかなりある。自分で絵を描くユーザーにはクリップアートはあまり必要ないが、英文フォントがたくさんついてきて、しかも Type 1 フォント(PostScript)と TrueType フォントがペアで入ってるのが多い。写真素材も JPEG2000 フォーマットである。
この Suite には Bitstream Font Navigator というフォント管理ツールが付属している。このツールでインストールした Type 1 フォントは Painter からも見える、というのが意外な発見だった。この例では Adobe のパッケージに付属してきた(どのパッケージだったかな、結局複数持っているのでよくわからない) ITC Kabel。そういうわけで、Corel に Painter にもこのツールをおまけでつけてほしい、と要望提出。
コーレルの日本法人が 【 CorelDRAW 12 Graphics Suite SP 日本語版 】 を 5 月 27 日に発売という発表をしましたが、今回かなり値段設定が安くなりましたし、Painter ユーザーには「乗り換え版」という割引もあるので、本格的に購入検討の対象にしてもいいかもしれません。ただし、日本語版を買っても Font Navigator は英語版ですから、日本語のフォントはまともに扱えません。フォント名がすでに文字化けして作業不可なのが多いです。OpenType の Adobe の小塚フォントは扱えるようですが、これまた CorelDRAW からは見えるのに Painter では見えないままという微妙な状況。Painter のフォント周りはかなり改善の余地ありです。