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Code Name Acrylic
Microsoft に買収された Expression が、新たなリリースに向けてベータテスト中。当然ながら Mac 版はないし、Windows 版も XP 限定なので Windows 2000 マシンでは試すこともできない。うちでは Tablet PC が Windows XP Professional Tablet PC Edition なのでこっちで試してみた。
新規レイヤーを作成するときに、これまでと同じベクターレイヤーか、ビットマップレイヤーかを選択でき、ビットマップレイヤーにはピクセルベースの、いわゆる「普通の」ペイントができる。が、どうもこれがかなり重い。ピクセルベースであるとはいえ、イメージのピクセル数が最終的に決まるのは、TIFF、PSD、JPEG などに書き出すときらしい。それまで内部的にはもっと複雑な(あるいは非常に解像度の高い)データとして持っているのだろうか。
ビットマップ系のブラシは「Painter に昔からあるブラシ」みたいに次々に少し違う色を描画したり、複数の色が平行して描画されるストロークだったりするが、Painter を知っていると「重いだけ」な印象。以前からの Expression のストロークはやはりそれなりに面白い。ストロークを置いたあとに、ベクターデータへのビットマップテクスチャの適用のされかたを、シッポにあるハンドルで変更できたり、もちろんストローク全体のサイズも自由に変更できるのが、これぞデジタルの強み、という感じがする。
そういうわけで、やっぱりベクター系ブラシの水彩関係で。背景としてビットマップレイヤーを作成して塗り潰したものを置いたが、PSD にレイヤー保持でエクスポートしたら、ビットマップレイヤーだけ消えてしまったのは、バグかな。
[ BetaNews の記事 ] に直接ダウンロードできるリンクあり。
コブシの花
Expression 3 が「ハードディスクの肥やし」状態なので、ちょっと掘り出してみる。何か素材がすでにあって、それをベースに描けばけっこう面白いかも。ドロー系はなんとなくラクガキするには向いていないので、せっかく「最後の特売」で買った Expression 3 をほとんど使ってなかった。(いつもラクガキしかしてない、ということがバレますが。)
こういう水墨画ふうなストロークは Painter ではむずかしい。パターンペン(透明)がいちばん近いが、パターンの「縦の長さ」が一定なので、Expression のように、1 ストローク単位で始点と終点が決まることによる自然さが出せない。Expression はどういうことをやっているか、というと、ベジエ曲線 1 本ごとに登録してあるビットマップをレンダリングして乗せて描画している。これだけなら最近の Illustrator でもできるが、Expression のみが持つ機能として、「入力時の筆圧に応じてストロークの太さが変化する」、すなわちストロークに表情・表現(expression)が出せる、ということがある。(これはマウスでもストロークごとに編集可能。)
ベジエ曲線のデータとの比較画像は 【 こちら 】
……それにしても、ワザがまったくない使いかたで。単に描いただけ。作画時間 10 分ほど。もっとちゃんとした使い方の例は 海津さんの解説 で。
何やら Expression はマイクロソフトに買い取られ、このバージョン(より少し新しいもの)が無料配布されているようなので、興味があるかたはウェブ検索などしてみてください。
とはいえ、何しろ Painter IX 日本語版 は 3 月 4 日発売、です。
セーラー服
Google 検索すると、この話題は情報が豊富。その理由は当然セーラー服ファンの存在。ネットでの情報の量は、話題の一般的な重要性 × この話題に興味を持つ人口グループのパソコン/ネット能力 × 同じグループの勤勉さ、あたりで決まってくるので、パソコンが日常であるグループが興味を持つ話題についての情報が多くなる。実世界とは違うネットの世界地図。「脳」にとってはそっちが現実だ。
この絵は 【 ペイントツール SAI 】 で。Painter IX のデジタル水彩に慣れたあとだと彩度がおとなしいと感じるが、これはデジタル水彩のほうが特殊なわけで。この描き味で予定どおりの価格で正式公開されるなら、やっぱりたいへん期待大。Painter フルバージョンはそれなりの値段なので、誰にでもすすめるわけにはいかない、というのと、(廉価版は現状ではちょっと機能をけずりすぎ)、日本から個性のあるペイントアプリケーションが発信されることがうれしい、という理由で、こっそり応援しています。
ペイントツールSAI
リンクをたどっていったら、開発中のペイントツール(Windows 用)のページに行き当たりました。【 SYSTEMAX 】 の「ペイントツールSAI」です。筆圧対応だというので、テスト版をいただいてきまして、どんなもんかチェック。
これまで知らなかったツールですが、(開発中、それも「コアモジュール」の開発中という段階)、なんだか感触がよいのです。筆と水彩筆は「色を引きずる」ことができるブラシです。鉛筆は筆圧によるストロークの太さと濃淡の制御のみですが、ストロークに 補正 がきくので気持ちよくキレイに描けます。また、縮小表示では アンチエイリアス処理 がかかり、これもきれいです。
保存は BMP 書き出しのみ。キャンバスサイズは 1028 x 1028 固定。読み込む BMP ファイルのサイズは自由らしいです。色を自由に選べるウィンドウが出てこない気がする。こっちで気がつかないのか、テスト中だからかは不明。右クリックでスポイト。
線を引くことについては Photoshop よりずっとよいです。Painter や openCanvas とまとめてだいたい同じ、と言ってもよいかも。たぶん openCanvas より補正には重点が置かれてます。水彩は通常と「ウェットモード」があり、これもかなり面白い。シンプルな画面構成になっていて、筆圧コントロールを反転なんていうのはないので、色の混じり具合のコントロールがちょっとむずかしい気がするけど、「色を引きずる」ブラシは Painter 以外では貴重。oepnCanvas も周囲の色に反応はするが引きずらない。Photoshop CS は持ってないけど、Photoshop 7 から判断すれば、そういうことを想定したブラシエンジンではないですよね。また、動作は軽いと思います。
テスト段階なので無料で使えます。
[ 追記 ] カラーセットの下の領域が Painter のミキサーパッドにあたるので、ここで色を混ぜれば微妙な色調を作れるようです。
[ さらに追記 ] そういえば 【 Project Dogwaffle 】 のことを忘れていた、と思い出して、新バージョンから作成されたフリーで使える縮小版をインストールしてみました。Dogwaffle のブラシにも「Bleed」という項目がありますが、ペイントツールとしては SAI のほうが全面的に上だと思います。SAI はタブレットへの対応にもこだわりがあり、なぜか SAI だけで、Painter でも openCanvas でも 2 ドット右下にずれるポインタがまったくずれません。この「ちょっとずれるポインタ」は Painter のカーソル編集で対応もできますが、Windows ユーザーならちょっと SAI を試してみるのもよいのでは。
細い鉛筆という画材
リンゴの季節です。Photoshop でも描いてみたのが左。最近描いたのはだいたい表示等倍で細い鉛筆(のつもりの設定のブラシ)で 1 ピクセル単位で描いたり、最後の修正をしたり、色を加えてそれを鉛筆サイズのブレンダーでのばりたり、しているわけですが、Photoshop だと精密なものは描きにくいですね。
考えてみると、細かいところの修正は描くのではなくて、鉛筆サイズのブレンダー(古いバージョンで言えば「水滴」)でやってます。なんというか、こう、混ぜつつ線を正しいほうにちょっとずらす。線が迷ったり重なってるところを、両側から寄せて整える。Photoshop の指先ツールだとうまくできない。
乗算塗り
Photoshop のブラシって、「流量と不透明度がブラシをまたいで共通」だから、「特定の濃さの鉛筆」とかはプリセットに保存しないとダメなんですね。で、プリセットに保存されてる状態で Painter のブラシバリアントと同等。Painter には普通のバリアントのほかに、パターンやノズル設定もまとめて保存する Look というのもあって、これを両方合わせて Photoshop のプリセットになるのかな。
でも、このプリセット、フォルダの入れ子とかないから、あまりたくさんブラシは置けない。
Photoshop で描くとき不便するのは色の混じりにくさ。指先ツールでも混じりにくい。いっぽう、面白いのはブラシの描画にもレイヤーの合成モードと同じだけの種類があること。乗算にして塗れば線画が消えないし、影の部分だけ暗くするのも灰色で乗算で塗ればいいんだから楽だ。
そういうわけで、ブラシの描画モードをいろいろ変えてしばらく遊んでいました。