2009 年 4 月 21 日、東京九段下の会場で Painter 11 日本語版発表会が開催されました。(Painter 11 公式ページは こちら。)
発表会では、まず ADAPT 2008 の会場風景を含むムービーが流れ、Painter X のスプラッシュ・スクリーンやパッケージ、Painter Factory のタイトルロゴ背景などで知られる Andrew Jones 氏の発表風景もチラリと見えたりしました。
それに続いて、2008 年 9 月にコーレル株式会社の取締役社長に就任した堺和夫氏のあいさつがあり、引き続き、コーレル・カナダ本社の Painter 担当プロダクト・マネージャーであるロバート・マクドナルド氏(Robert MacDonald)が紹介されて壇上に上がり、Painter 11 の発表となりました。
以下、その発表の概要。
- 新バージョン作成にあたっては、アンケートをとったりアーティストに意見を聞いて回ったりした。
- Painter ユーザーの 90% は Photoshop も併用している。この 2 つのアプリケーションの間を行き来するところから、新たな創造性が生まれている。
- Painter X で新しく搭載したリアルブリスルのテクノロジーを応用して、Painter 11 では新しいタイプのドライメディア系ブラシを搭載した。これは Wacom のスタイラス(タブレットペン)の傾きやスピードで表現が変化するブラシである。
- この 1 例が「鉛筆」カテゴリの「リアル鉛筆(2B)」バリアント。スタイラスを立ててシャープな線を描き、倒してシェーディングをかけるというように使える。
- このほか、(「リアルブリスル」カテゴリ以外で)、バリアント名に「リアル~」とつくものはこの新しいタイプのブラシ。
- この他に新しいブラシとしてマーカーカテゴリを追加。連続したストロークでは、ストロークが重なりあっても色が濃くならず、均等に塗れる。いったんペンを上げて新しいストロークにすると、重ね塗りになる。部分的に影をつけるなどに便利。Painter コミュニティで好評である。
- 「リアルブリスル」のドライメディア応用部分は、ブラシコントロールではハードメディアという新しいセクションが対応する。ブラシチップ(先端形状)も 6 種類から選べる。
- Painter のブラシカスタマイズ機能は他にはないユニークなもので、人気が高い。
- ユーザーから要望があった「拡大できるカラーホイール」を搭載。また、カラートライアングルにフォーカスがあるときは、カーソルキーで色の数値を微調整できる。
- ミキサーパレットも拡大でき、拡げると上部のカラーセットの色数が増える。
- レイヤー操作面では、レイヤーパレットのリスト上の操作に次のショートカットキーを追加した。
- Ctrl + クリック(Mac では Command + クリック)で、そのレイヤーの描画部分を選択。
- Shift + Ctrl + クリック(Mac では Shift + Command + クリック)で、クリックしたレイヤーの描画部分を選択範囲に追加。
- Alt + Shift + Ctrl + クリック(Mac では Option + Shift + Command + クリック)で、すでにある選択範囲とクリックしたレイヤーの描画部分が「重なる部分」を選択。
- 新しい「変形ツール」を導入した。
- 完全に刷新した新しいカラーマネジメントを搭載。ファイルへのプロファイル埋め込みもするようになり、Photoshop とのファイルのやりとりがスムーズになった。Photoshop が埋め込んだプロファイルも読む。
- Intel Mac では、約 30% のスピードアップ。
- PNG ファイルの読み書きに対応。
- Painter 内部から直接イメージをメールで送信する機能を追加。
- 新機能紹介に加えて、Painter が持つフォトペインティングの機能の概要をデモ。
- (Andrew Jones 氏の作例を表示しながら)、Andrew Jones はカスタムブラシを多用して作業をする。特にパターンペン、および、パターンチョークをよく使う。また、一部分の色を明るくするのに、「グロウ」ブラシをうまく使っている。
- この他に油絵っぽい質感の Daniel James Cox 氏の作品と、写真をベースにして人物が背景に溶け込む効果をブレンドブラシで出している Heather Michelle Bjoershol 氏の作品を紹介。
このあと『ペインタボン』の著者でもある寺田克也氏が登壇、レイヤーを使わず、チョークと「透明水彩」(旧水彩、および、デジタル水彩のことらしい)しか使わない作業の実際を披露しました。そのときの絵は 国内随一のPainter使い、寺田克也氏はこう描く! で見られます。
寺田氏の実演しながらの談話の概要はこんな感じ。
- ふだんの作業では線画をスキャンして取り込み、Painter で着彩という流れで、レイヤーもほとんど使わないので、新バージョンの Painter を紹介する役には不適任、とコーレルに言ったが白羽の矢が立った。
- 十数年前、友だちに触らせてもらったのが Painter との出会い。Photoshop の最初のバージョンが出た直後あたり。
- 最初に買った Mac は LC3。まだデジタル入稿ができなかった時代。しかし、1、2 年たったらデータ入稿が OK になっていた。マシンも買い換え、仕事絵もすべてデジタルに移行したきっかけは Painter があったことが大きい。
- Painter は最初から描画の感触(描き味)の点では完成されていた。それまではマーカーとアクリルを使っていたが、デジタル入稿したものが見分けがつかなかったので、印刷物ならデジタルでやれると思った。
- レイヤーもない時代で、ファイル保存にも数分かかるような環境だった。
- デジタルのよさがあるとすれば、画材を扱うスキルを習得する過程を経ずに、イメージの作成に行けること。
- ソフトの使いかたを覚えるのには時間がかかったが、デジタルに慣れるに従って、3 倍から 4 倍速く仕上がるようになった。
- 自分は描いているうちにその絵に飽きるところがあるが、描くスピードが上がることで、飽きずに仕上げられるようになった。
- 海外に行くときに MacBook とタブレットを持っていったら、ラフ出しから入稿までできたので、これさえあればどこでも仕事ができると思った(実際の画材を全部持って歩くのは不可能)。
- Painter は画材をデジタルで再現するものというより、「Painter という画材」だと考えている。
- 以前は毎回、缶のパッケージを買っていたので、缶がたくさんある。早く入手したいので、英語版を買っていた。たまたま日本語版を買ったときは、すでに英語で覚えていたので、メニューなどの意味がかえってわからなかった。
- ちょっと使いにくい時代もあったが、(「6 が最高、と言っていた」)、IX でだいぶ昔に近づいた。Painter 6 は OS 9 でしか動作せず、クラシック環境もなくなったいま、Painter 6 では無理。
- ふだんはメインが 30 インチのデュアルで、サブのほうにパレット類を置いている。
- チョークと透明水彩しか使わない。
- 仕上がりのイメージが「見えて」しまうと面白くないので、時々ふだん使わないブラシを使ってみたりする。
- キャンバスに色を 3 つほど置いておき、スポイトで拾いながら描く。
- スクリプト機能が好き。自分で描いたときのスクリプトを眺めたり、ひとに見せるのも好き。他の人のスクリプトももっと見たい。スクリプトの交換をしてみたい。
- 「Photoshop がキャンバスの回転をついにマネしましたね」
- (Painter の長所は)、描くがわとしては、触っていると楽しいツール。デジタルなので失敗を恐れなくてもよくなり、肩の力が抜けた感じになれるのがよい。が、レイヤーを使わないのは緊張感を保つためでもある。
- デジタルにアレルギーがある人に Painter を見せると、「あ、こういうのも描けるんだ」という反応が返ってくる。「じゃあ、買ってみようかな」ということになり、Painter 友だちが増える。
- Painter は自分にはなくてはならないツール。
最後にコーレル株式会社マーケティング部広報担当の野中さんより、5 月 22 日のパッケージ版発売と同時に日本公式サイトにブラシダウンロードページをオープンする予定であり、合わせて、Painter 11 の使用感をブログに書き、その記事の URL で応募する「Painter 11 ブロガーコンテスト」開催予定、というお知らせがありました。(このコンテストは試用版でも参加可、だったと思います。賞品いろいろ、だそうです。)
当日配布されたプリントアウトについては PDF データも配布されましたが、この PDF は CorelDRAW で作成されたものでした。手作り感バリバリだけど、健気な感じで今後に期待。
(2009/04/25)