Painter Basics FAQPainter Basics : FAQ

水彩ブラシの変化

Painter 6 までのバージョンでは、「水彩」は一種類でした。キャンバスに描いた線画を塗りつぶさずに、擬似的なフィルタレイヤーの上に着彩でき、しかも色にアナログっぽい表情が出るので、便利なツールとして広く人気が出ました。この「水彩」ブラシのために Painter を使う人も多かったようです。

しかし、Painter 7 で大きな変化が起こります。「水彩」ブラシが完全に別物になったのです。これまでのものとはまったく違うものなので、Painter 6 までの水彩を旧水彩、Painter 7 からの水彩を新水彩と呼んだりもします。Painter のマニュアルや公式サイトで「水彩」と言うと新水彩のことです。(マニュアルなどでは、新機能についての解説はあっても過去のバージョンとはどう違う、といったことは書いてないので、わかりにくいと思います。)

上記のような理由で、ウェブ記事や解説本で水彩に言及している場合、それがどのバージョンのものなのか(すなわち、旧水彩のことなのか、新水彩のことなのか)をよく確認してください。

Painter 12 ではさらに新水彩のバリエーションとして、水分の広がりがよりなめらかなリアル水彩が搭載されました。

新水彩について

Painter 7 で搭載された新水彩 は、特殊レイヤーを使用するブラシです。すなわち、「水彩」カテゴリの、たとえば「ぼかしキャメル」バリアントを選択して画面にひと筆描くと、レイヤーリストに特殊な「水彩レイヤー」が追加されます。

水彩レイヤーには次のような特徴があります。

新水彩ブラシも、「よりリアルなものを」という開発理念から生まれただけのことはあって、水ににじむような色の広がりを作るのは得意です。ただ、ふつうのブラシというよりは、特殊効果っぽい位置づけになると思います。Painter 7 で同時に搭載された、これも特殊レイヤーを使用するリキッドインクは、何かの置き換えではなかったので、面白いツールとしてユーザーからの不満はありませんでした。

Painter 7 の公開後、旧水彩を求める声がユーザーに強く(旧水彩は日本だけでなく、英語圏でも愛用者が多かった)、この不満を多少とも解消するため、Corel はアップデータという形でティントブラシを追加公開しました。

ティントブラシは「ブラシカテゴリ」として独立していますが、ブラシエンジンとしてはまったく新しいものではなく、チョークやパステルなどのカテゴリでも使われている基本的な「塗潰し」ブラシを柔らかい感触に調整したものと、旧水彩に似たような「ぼかし」を実現するプラグインブラシ、「溶かし(ドリップ)」系のブラシなどをうまく組み合わせたセットです。

旧水彩に似せたチューニングながら、内容は Painter に以前からある安定したブラシエンジンであるためにどのブラシバリアントも軽くて扱いやすく、代替品として発表されたわりには愛用者が多数つきました。

デジタル水彩について

Painter 8 の開発にあたり、やはり旧水彩への要望が強かったので、これをデジタル水彩として復活させることになりました。

しかし、旧水彩は古い時代のもので、レイヤー(フローター)の上では使えない、範囲選択による移動ができない、水彩があるとキャンバスサイズの変更ができない、といった重大な制約がありました。そこで古いものを参考にしつつ、新規開発となったのですが、Painter 8 で搭載されたものは、いったん Painter を終了すると乾燥してしまい、続きの作業ができない、という仕様のものでした。(デジタル水彩 Ver. 1)

Painter IX でさらに見直しが入り、デジタル水彩は目に見えない特殊レイヤー上に描画する、という仕様(じつは旧水彩と同じ)に変更になりました。Painter IX 以降では、Painter 6 までの水彩ブラシファイルを読み込むと「デジタル水彩」ブラシに変換され、しかもほぼ旧水彩のとおりの描き味が再現されます。また、Painter 6 までで保存した Painter の RIFF ファイルも違和感なく開くことができます。(デジタル水彩 Ver. 2)

現在のデジタル水彩はこの後者です。新水彩とも Painter 8 のデジタル水彩とも別物ですが、Painter 6 までの旧水彩に近いものになっています。

レイヤーリストには表示されない「デジタル水彩レイヤー」をキャンバスやレイヤー上に自動生成して描画するため、レイヤー上で使用した場合にストローク周辺に白いベースレイヤーができることが他の作業の妨げになる場合もあります。これはある意味、デジタル水彩の仕様上しかたがない部分ですので、工夫して回避してください。たとえば、デジタル水彩のストロークの周辺はそれを囲む長方形が特殊範囲として存在し、スポイトでの色拾いで白が出てしまうなどの問題がありますが、乾燥してもよいのであれば、乾燥してからレイヤーをコピー&ペーストするなどすれば、隠れた特殊領域が消去できます。

リアル水彩について

Painter 12 では、水分の移動と乾燥による水彩境界のシミュレーションを強化し、新水彩の混色により色が黒ずむという欠点を見直したリアル水彩が新規搭載になりました。

このブラシは新水彩よりさらに処理が重いので、使用には注意が必要です。本物の画材をシミュレートする、という目的は同じですが、新水彩とはかなり性格の違うブラシに仕上がっています。使用する特殊レイヤーは、新水彩と同じ「水彩レイヤー」です。ただし、このブラシの設定では「水彩レイヤー全体をぼかす」という処理はできません。

(2011/11/14)