tc1100 概観

モノを買うときって、あくまで冷静な比較検討とかじゃなくて、「あ、コレ、なんか好き~」という勢いで買うのが実はほとんどだったりする。今回の hp tc1100 (Pentium M モデル)もそう。冷静だったら、絶対に必要な道具でもないし、ちょっと値段も高いから買ってないかも。(発注は 2004 年 3 月下旬、納品は 4 月中旬。)

購入場所は 【 Amazon.co.jp 】。この商品は 20 万円以上なので、3 万円の「ギフト券還元」がある(期限不明)。Amazon をふだんから使っている人にはおすすめ。

hp tc1100 tc1100 とはどういうものか、というと、こんな外見をした Tablet PC。Tablet PC というのは定義上は Microsoft が決めた基準を満たし、さらに Windows XP Tablet PC Edition を搭載したパソコンということになっているらしいので、外見がこんな感じでも他の OS が載ってるのとかがもし発売になれば、ちょっと別の名称がつくのかもしれない。

hp tc1100 にはキーボードも付属している。送られてきた箱を開けたときには、キーボードと合体してビニールレザーのケースに入っている状態。その他、詳細はメーカーの 【 製品紹介のページ 】 で。

Tablet PC には convertible (コンバーティブル・両用型・キーボードと分離できない)と slate (ピュアタブレット・石版型・キーボードはない)があり、tc1100 はキーボードを分離すれば slate 型になる変形合体型。石版形態は純粋に「お絵かき」道具っぽくていい。

「石版型」というのは英語の slate の訳として、ここで勝手に採用しているフレーズ。「ピュアタブレット」より短く、まともな日本語で、かつ歴史的背景もある言葉なので、こっちのほうがずっといいと思う。西洋では「紙とインク」以前、羊皮紙は高価で普段は使えない時代、さらに、紙が安くなるまでの併用筆記具として、ノート取り的なものは「石版とチョーク」でやっていた、ということからくる slate という言葉なんだから、「石版」なのですよ。「wipe the slate clean」などの慣用句もあり。

ちなみに、slate は粘板岩、chalk は白亜(ドーバー海峡の岸壁はこれ)という普通の鉱物。これを使いやすい形状にして物を書くのに使っていたわけです。以上、英語屋の薀蓄でした。

hp tc1100 size 大きさは B5 より一回り大きく、普通の雑誌とほぼ同じ(下は「ファミ通」)で、iBook より一回り小さい。キーボード分離状態での重さは 1.4 kg。軽くはないが、現在の技術で CPU パワーとバッテリー使用時間のバランスをとるとこのへんになるらしい。

まず特筆すべきこととして、tc1100 は 液晶画面が非常にきれい、ということが言えると思う。視野角は縦・横とも 160 度確保されていて、どの方向から見てもよく見える。さらに、ノートパソコンの液晶画面によくある、角度が変わると色が変わるとか、明暗コントラストが変わるといったこともない。きわめてナチュラル。(視野角情報は [ 北アメリカ方面用製品情報ページ ] より。このページでは Pentium M モデル「のみ」 160 度となっているが、日本の製品情報では型番による違いがあるとは書いてない。)

2004 年秋に発売された他のメーカーの機種、特に NEC や富士通のものはさらに液晶がきれいです。機種によるかもしれませんが。

この液晶は Samsung じゃないかと推測。現在メインで使用している液晶ディスプレイの SONY SDM-M81 (2001 年の製品)というのが、その後 SONY が液晶で Samsung と正式に提携したりもしてるし、色調からも中身は Samsung であると思われるのだが、それと質感やら色調やらが同じ。単体ディスプレイと違ってメニューボタンから色温度を設定したりはできないが、画面の詳細設定からビデオアダプタ(NVIDIA GeForce4 420 Go 32M)の設定画面に入ると、色相やガンマなどいろいろ設定できるので、結果として色温度の変更もできる。

そういうわけで、やっとノートサイズで「単体ディスプレイと同等の液晶」のものが入手できたわけだ。このレベルの液晶を搭載している機種は、Tablet PC ではない通常のノート型(コストパフォーマンスと省電力優先)や、メーカー製液晶ディスプレイ付属デスクトップ機(発色がきれいだがたいてい視野角が狭い)を含めても、まだめずらしい。

hp tc1100 viewing angle ノートパソコン状態での画面の下が手前にくるようにして、かなり角度をつけて液晶を見ても、色調や階調が乱れない。これは絵を描くうえでは重要。

最近の Tablet PC はどれも Wacom のデジタイザを採用している(その結果、機種間でスタイラスが使いまわしでき、Art Pad や Cintiq のものも使える)ようなので、http://www.wacom.com/tabletpc/driver.cfm、あるいは その日本語版ページ から新しいドライバを導入すると Painter や Photoshop でも筆圧が効くようになる。これも絵を描くうえで重要。(tc1100 には 4.78-9 以降のバージョンしか乗せてはいけない。古いバージョンを導入するとハードウェアエラーで起動できなくなる。)

古い Art Pad のスタイラスを使ってみたら、反応はするが筆圧が効きにくい(硬い)。しかし、サイドスイッチが上下 2 個使えて、さらに消しゴムもある標準的なスタイラスは、やはりとても便利(ただし、追加スイッチは WACOM の拡張ドライバ依存)。そこで WACOM の通販のスタイラスのリストを確認すると、Art Pad と Cintiq のオプション品に「ライトタッチツインペン (型番:UP-811E)」というものがあった。説明に「UP-801Eのペン先スイッチON荷重を軽くしたものです。軽い筆圧でスイッチがONになるので、手書き文字入力に適しています」とある。

これを買ってみたら筆圧がちょうどよかった。後で Cintiq 用のグリップペンなども、たぶん全部「筆圧は Art Pad 用のペンより軽め」なのに気がついた。そういうわけで、Tablet PC 用の追加ペンとしては Cintiq 用のものがおすすめ(たぶん)。型番 UP-911E-02DD(ダークグレー)。Cintiq のペンは Cintiq のデモ機があるところで実際に確認できる。細いペンのほうが好みの場合は UP-811E(白系)あるいは Cintiq 用の細身のスタイラスペン UP-813E-01A(ダークグレー)で。

WACOM のドライバページには、富士通の Tablet PC では、このドライバでセカンドスイッチの使用不可、とあるので、この機種についてはメリットがないかも。

もう一つ重要なのが、搭載メモリの量。tc1100 Pentium M バージョンは本体に 512 MB のメモリを積んでいて(交換不可)、空きスロット一つ。メーカー直販ページでは 512 MB の追加で 5 万円もかかるので最初はあきらめたが、【 I・O DATA のメモリ 】 なら納得できる範囲。【 Amazon 】 でも販売中。合計 1 G なら Painter もまともに使える。

ちょっと深刻な問題点

で、デザインもけっこういいし、液晶も問題なし、筆圧も効き、メモリも充分積めるという状態で、とても気持ちよく絵が描けるのか、というと、じつは問題点はある。

最大の問題は 線がヨレる ということ。これはまったく予測していなかったので、最初に気づいたときにはかなりあせった。これは斜めにゆっくり線を引いたときに出る現象で、特定の位置でスタイラスのポインタが特定の方向にずれるので、思ったとおりに線が引けないという タブレットにあるまじき 挙動。【 実例 】 (ピクセル等倍)でわかるように、そのずれかたにパターンがあり、デジタイザが何かの電磁波の影響を受けているように見える。

ペンを速く動かした場合、ドライバのレベルで補正がかかるので、この現象は出ない。また、スタイラスをゆっくり動かした場合、ポインタがずれるのは回避できないが、そのズレた場所に正確に描画するので、ポインタと描画点がずれているわけではない。

この現象に遭遇してすごくあせったので、東芝のコンバーティブル型の M200 ではどうなのか、ショールーム(秋葉原テクノセンタ)まで確認に行ってしまった。展示品はたぶん新しい WACOM タブレットドライバが入っていないので、ポインタの追従はドライバが入っている状態より劣る面もあると思われるが、小さいキツい波はほとんどないものの、M200 でも「直線ではなくゆるい波線」になってしまう現象はあるようだ。(ズレかたにパターンがあるのも同じ。)

Tablet PC に使用されているデジタイザは 1 種類ではない、という話もあり、機種によってヨレる大きさが違う。富士通のものがヨレが最も小さいようだ。NEC のものも小さめ。ただし、2004 年秋の新機種について。購入にあたっては実機で試してみる以外に確認方法はありません。

この「線がヨレる」問題は、【 TabletPCBuzz.com 】 の Discussion Forum の HP/Compaq 会議室でも議論されている。【 Contact HP Over TC1100 Digitizer Problem 】 というトピックがそれ。ユーザーがメーカーにかけあって、この問題(線のブレ squiggles, jaggies)があることを認めさせ、その結果メーカーでは対策に着手している。メーカーは当初、ハードウェアの交換というような金銭的ダメージにつながる方法をできるだけ避けて、ファームウェアでなんとかしたいと思っていたようだが、どうもこれはハードウェア(デジタイザ)の問題であるというのが確定して、現在デジタイザの設計の改良に取り組んでいる模様。

【 このトピックの 14 ページ 】 では、他のメーカーの機種でも同じような、斜めにゆっくり引いた線がヨレる現象が報告されている。(Vewsonic V1100, Toshiba M200)

そのうち交換用のデジタイザが生産されてくる(早くて 6 月になる)ので、線のヨレが気になるユーザーはメーカーに連絡すれば交換されるようになるらしい。(あくまで希望的観測。また、全部をリコールするわけではない。) 日本 HP にもこの問題を伝えたが、対応は未定。

線がヨレるのも慣れればそれなりに、拡大表示などもしながら描けるので、致命的とまではいかないが、普通にタブレットで描くように描けるようになったら幸せだなあ。いい展開になってほしい。

補足 (2004/07/19) - 【 Contact HP Over TC1100 Digitizer Problem - Page 17 】 まで読むと、線ヨレの問題は進展なし。メーカーでは問題の認識はしているらしいが、対応について何も具体的なものが出ていない。デジタイザ(液晶の下にある、単品タブレットの中身に相当するもの)のメーカーの WACOM では、「CAD などの正確性を要する作業での使用は想定外」と言って責任回避している、という情報もある。しかし、ここの会議室を代表して HP と交渉している人たち(複数)は、まだまだ交渉を続ける方針。

2003 年冬以降に発売された Tablet PC はほとんど(日本発売の機種はすべて) WACOM のデジタイザを採用しているので、症状の出かたに多少の違いはあっても、すべての機種にこの問題が出る可能性がある。絵を描くのに使おうと考えている人は、実機で確認したほうが安心。

WACOM の拡張ドライバの新しいバージョン(英語版の 4.79-4)では、通常の intuos や Cintiq との併用もできるので、細かい作業は外付けタブレットを併用してしのぐという方法もある。ドライバは Tablet PC 用と二種類をインストールする必要があり、ドライバのバージョンにも制約があるので、注意書きをよく読んで。

Tablet PC の一般的な問題

Tablet PC というのは、絵を描くという用途のために設計されているわけではなくて、「たまたま絵を描くのにも使える」というものなのかもしれない。これはじつは液晶のない単なるタブレットだってそんなところがあって、初期設定が「Windows の画面操作」向けで、「ダブルクリックアシスト」を解除するまでは、まともに絵が描けない。

Tablet PC ではこのへんがさらに複雑で、ペンによる操作を助けるための仕組みがかえってジャマになっているのか、あるいはデジタイザがまだ発展途上で入力がギザギザしがちなのを補正するために WACOM ドライバがやっていることがジャマなのか、いずれにせよ、ペンのポインタを機敏に動かすことを妨げる結果になっている。ペンの感触が、「ペンとポインタの間にゴムの糸があって、ペンを動かすとそのゴムに引っぱられてポインタが動く」ような感じ。これは単純に「重い」のではなく、補正がすごくかかっているのだと思う。Painter のブラシを重いと感じるのではなく、操作インターフェイスが「トロい」、従って素早く連続したストロークを描くのがむずかしい。

液晶タブレット(Cintiq)と同じく、Tablet PC もガラスのカバーの厚みがあるため、モノとしてのペンの先とポインタのあいだに空間がはさまり、「視差」が生じるので、慣れないと描きにくく感じる。正確に点を打つためには画面に表示されるポインタにたよる必要がある。この点、hp tc1100 はけっこうガラスカバーが厚いほうで、これは「とても頑丈そう」なのは安心なのだが、視差はけっこうある。東芝の M200 などのほうがその点では描きやすい。

そして、これは Tablet PC というものが、絵を描くことに向いている「キーボードがジャマにならない」形態であるがために起きてくる問題であるが、Painter であれ Photoshop であれ、ショートカットキーはかなり頻繁に使うものであるのに、これが使えない、ということがある。コンバーティブル型であっても、絵を描くための形態にすればキーボードはスクリーンの裏になってしまうので、問題は同じ。Tablet PC にはキー操作を補うためのボタンがいくつかついてくるので、それをうまく活用してしのぐしかない。

必要なときには OS 付属の入力パネルを出せばいいのだが、これには一呼吸時間がかかる。出しっぱなしにできる小さいキーボードとして SKEY がある。【 補助ツールとして SKEY を使う 】 で紹介しています。

さらに、これはまったくの別問題になるが、現在の機種はどれも使っていると熱くなる。Painter のように CPU を酷使するアプリケーションを使っていると、かなり熱くなって、同じ場所を手で支えているのは辛くなるかもしれない。また、Pentium M で電気の使用量は少ないとはいえ、こういう使いかたをするとバッテリーの減りも早い。tc1100 で言えば、ウェブブラウジングや軽いツールなら 4 時間以上が楽勝だが(ワイヤレス LAN を使った場合は別)、Painter を使っていると 2 時間ちょっとくらいしか持たないかも。いや、それでも 2 時間持つと言うべきか。いずれにしても戸外スケッチには限界がすぐきてしまうので注意。

Painter は 8.1 から CPU を常に 100% 使うことがなくなったので、Tablet PC にもちょっと安心になった。また、下のリンクからダウンロードできる SpeedswitchXP が使える CPU であれば、CPU 負荷が低いときの温度はかなり下げられる。Pentium M モデルの tc1100 では有効であることを確認。

Tablet PC では縦長画面(ポートレート)で使うことも多いが、画面を回転した状態でのペン入力には一部のアプリケーションの新しいバージョンしか対応していない。対応していない場合、入力した位置と描画される位置が 90 度ずれる。ずれるものには、Painter 6、Painter Classic Ver. 1、OpenCanvas の各バージョン(2004/04/22 現在)、牛丼、などがある。筆圧対応ではないシンプルなグラフィックツールはかえって問題ないようだ。通常のアプリケーションも問題ない(と思われる)。

こちらで画面の回転の対応を確認したのは、Photoshop 7、Painter 8、Painter IX、Expression 3、PaintShop Pro 7 & 8、ArtRage。Painter 7.1e はストローク遅延はあるものの位置は正常。

絵を描くための設定

このへんで参考になるのは、まずは Painter の先達である吉井さんの 【 Hiroshi Yoshiii online portfolio 】 にある 【 タブレットPCは絵を描くのに使えるか? 】 というページ。そこにさっそく、「ストローク描き始めのもたつきは、プレス アンド ホールドをオフにすればなくなる」という重大なヒントがあるので、まずはこれを実行。これは「コントロールパネル」-「タブレットとペンの設定」の「ペンのオプション」画面で、「プレス アンド ホールド」を選択して「設定」ボタンを押し、そこで表示されるダイアログからオフにする。この「プレス アンド ホールド」というのは、しばらく同じ場所にペンを置いていると右クリックとして認識されるという、Macintosh のワンボタン・マウスでコンテキストメニューを出すのと同じような機能。ペンの動きを監視して、「まだ同じ場所にいるかどうか」を常に判断している、そして、この判断には「ちょっとくらい動いても同じ場所にいることにする」という許容範囲があるために、絵を描くような細かいペンの動きとは相容れない。

WACOM Penabled Tablet PC Driver を導入すると、このドライバ独自の設定が加わる。現在のバージョンでは、intuos などのドライバと違って、設定できる項目は非常に少なく、ペン先の筆圧反応の「柔らかさ」、同じく消しゴムスイッチの柔らかさ、サイドスイッチの設定のみで、アプリケーションごとに個別に設定することもできない。

intuos ドライバでは、描画される最低筆圧を低く設定する(これは筆圧の柔らかさとは別の項目)ことで、快適に描けるようになる。Penabled Tablet PC Driver にはこれに相当する設定項目がない。しかたがないので、とりあえずは筆圧を「最も柔らかい」設定にして、この状態で Painter のブラシトラッキング調整を行うと筆圧が少し固めに補完されるので、これで使ってみることにした。(Photoshop などでちょっと使いにくくなるかもしれない。) ペンとディスプレイのキャリブレーション(位置合わせ)も当然しっかりやっておく必要がある。

さて、OS のほうの「タブレットとペンの設定」には他にも「許容範囲」の設定がある。先ほどの「プレス アンド ホールド」と並んでいる「ダブルタップ」のダブルクリックの許容範囲と、「ポイント/ホバー」の「ポイント領域」の許容範囲である。前者は普通のタブレットの「ダブルクリックアシスト」に近い機能。後者はどのくらい描画に影響するかははっきりわからないが、念のためにどちらも小さくしてみた。「ダブルタップ」の速度設定はたぶん速めがいいのでは。さらに、「入力パネル起動のジェスチャ」もオフ。「普通の操作」には不便になる方向で設定すれば、だいたい OK。(ダブルクリックとか、当然むずかしくなるけど、お絵かきのためにはガマン。)

さらに、機種固有の「ショートカットボタン」もできるだけ使いやすく設定する。tc1100 の場合、画面のすぐ外側にペンでタップするボタンが 3 個、本体側面に手で押すスイッチが 3 個とジョグダイヤル(上と下のカーソルキーがわり)がある。とりあえず、ペンでタップするスイッチは Ctrl + Z (undo)、Backspace (消去)、および Ctrl + H (パレットの表示/非表示)を割り当て、側面のスイッチは Alt、Ctrl、Shift、ジョグダイヤルの上に PageUp、下に Space (Painter の手のひらツールとウェブブラウザの PageDown 兼用)を割り当ててみた。このボタンやスイッチはかなり助かる。

Windows XP Tablet Edition という環境

絵を描くための石版型パソコンを買ったら、この OS もついてきてしまった、というのが実情だが、ペン入力に特化した環境というのもかなり面白い。いつのまにか手書き認識の精度もぐっと上がっている。英語も日本語も実用になる。英語だと「全画面入力モード」があって、アプリケーションの上に重なった透明な入力領域にどんどん書いていける。(これは SP2 で東アジア言語にも対応するらしい。) マイクからの入力で音声認識もやるらしいが、これはまだテストしていない(めんどくさい)。

また石版型の Tablet PC というものは、縦長画面(ポートレート)がデフォルトである。さらに、横長(ランドスケープ)でも縦長でも、本体のどちらが下にでも表示できる仕様のようだ。なかなか器用。縦長画面は文章書きやウェブブラウジングにはとてもいい。XGA のディスプレイでも縦長に使うと、ブラウザの画面がなんだか広々する。印刷物の形態に近いので、PDF の閲覧専用機に使う人もいるようだ。

Tablet PC 専用の Windows Journal も、メモ取りにはけっこう使えそうな感触。さらに手書き用「付箋紙」ツールも OS に付属。これは起動がすごく軽いわりに便利。全画面モードにもできるし、大きさも自由に変更できるので、1 ページにかなり書ける。消しゴムがないが、左右に 3 回続けて狭いジグザグを素早く引く、という動作が「下のものを消す」動作として使えるようになっている。いらなくなったメモを「×」のクリックひとつで消せるのも便利。録音機能も付属。昔の Newton や Windows Journal と同じく、描いた線はビットマップでなくベクターデータになる。選択して変形などはできないが、Journal にそのまま持っていけるデータなので Journal での編集が可能。ただ、これは Journal と付箋紙だけで共有できるデータで、Painter にペーストすると、付箋からのデータはビットマップに、Journal からのベクターデータは「空のレイヤー」になる。Journal からは、TIFF 形式でのエクスポートができる。

Microsoft が出した OneNote という統合メモ取りアプリケーションの評判もいいようだ。要するに、「ぜんぜん違う環境って面白いかも」、ということです。(初代 Newton も触ってるだけなら楽しかったが、こっちは実用になるところが偉い。)

以上、tc1100 が到着してから 1 週間時点での観察と感想+半年後の追加メモでした。このマシン、LAN 端子に緑と黄色の LED がついていて、接続とデータ転送に反応します。細かいところがかなりいい感じ。

その後のいろいろ

[ 2004/05/01 ]
じつは不可解な小さいトラブルに遭遇中。このマシンは USB 接続の CD/DVD 外付けドライブから起動できる場合もある(ドライブの機種による)ようで、わざわざドッキングベイを買わなくてもリカバリーをかけることができるわけだから、そのうちそれを実行するかもしれないけど、現在は(USB 接続ドライブがないので)まだそのまま。そのトラブルというのは、「突然休止状態になる」(ハイバーネーションのためのハードディスクへの保存が始まる)というもの。何となく、起動(あるいは休止から復帰)してから一度、電源管理のプロパティで何かをちょこっと変更して「適用」すると、そのセッションは大丈夫のような気がする。

2004/05/21: Tablet PC Buzz で関連スレッド発見 >> MS Hibernation Patch?

[ 2004/05/02 ]
電源コードを抜いている状態(バッテリー稼動中)のとき、電源コード差込口の近辺から断続的な「ジジジ」という音がする。けっこう気になる。

2004/05/16: いつの間にかこの音がしなくなっていた。特に何をしたわけでもなし。このトラブルが続く場合、マザーボードの交換で対応してくれるらしいですが、それでも直らないことが多い「仕様」的な問題のようです。

[ 2004/05/21 ]
電源ボタンのすぐ隣にある「外部モニター出力切り替えボタン」は、他の目的にも使えるらしい。tc1000 の場合は Tweak UI で Command Key の Mail ボタンの設定を変更すればよかったらしいが、tc1100 ではこれが効かない。が、このボタンが呼び出している exe ファイルの名前で内容を他のものにしたりすれば、変更できそう。

2004/05/21: Tablet PC Buzz の関連スレッド >> Other way to program mail-button?

[ 2004/11/26 ]
Windows XP SP2 を導入。文字認識パッドがかなり変わり、認識率アップ+その場での確認と修正方法の改善で、ほんとにこれはかなり良くなった。ストレスをほとんど感じずに手書き入力ができるというのは、画期的とも言える。

ただし、この手書きパッドの「可能な場合、テキスト入力領域の横に表示する」のオプション(フローティングモードになり、テキスト入力を受け付ける場所にカーソルがあるとボタンとして表示されるので、便利で画面のジャマにもなりにくい)をオンにすると、SpeedswitchXP による CPU パワーの制御が効かなくなるようだ。(上書きインストールなので、クリーンインストール直後に SP2 を当てて、その後にアプリケーションを導入すると解消される可能性がないわけではない。)

また、バッテリー稼動時のジジジというノイズがいったん小さくなっていたのが、また最初の音量で復活。理由はよくわからない。音楽を鳴らしているとノイズが消える、という情報(価格.com 掲示板)があったが、WinAMP 2.9 で音を出すと、これまた SpeedswitchXP での CPU スピード制御が効かなくなる。この問題は修理に出しても直らないという情報もあり、何か CPU に負荷をかけずにノイズをオフにしてくれるようなものがないか、偶然の遭遇待ち。

SP2 導入直後は、すべてが非常に重い。Painter にもストローク描き出しの遅延が生じて「こりゃダメか」とも思った。しかし、再起動 2 回目からまともになった。正確には、再起動でさえなく、勝手にスリープに入ってしまったのをレジュームしたら変わっていた気がする。

[ 2004/11/28 ]
マイク入力をちゃんとテストしてみた。最初からどうもおかしい(雑音が大きくてまともな録音ができない)のだが、いろいろな組み合わせ(中央の「ヘッドセット」入力も PHS 用マイクつきイヤホンでテスト)ですべてダメだったので、この個体のマイク入力関係は最初から壊れていたらしい。そのうち修理についてサポートに連絡してみようと思う。使っていない機能を修理するために手元からなくなるのは無意味なので、必要になってから修理依頼する、ということで。そういや、右サイドのリセットボタン(正確には「Windows セキュリティボタン」という、ボタンの隙間の小さなスイッチ)も購入からしばらくして効かなくなった。システムの不具合かハードウェアか不明。

[ 2005/04/29 ]
Sound Blaster Audigy 2 ZS Notebook を購入。デフォルトでは音色効果などはないが、こういったもの追加で音は変わる。が、改めて聴きくらべをして、ステレオヘッドフォンの種類で非常に音が違うことに驚いた。音というのは、画像のカラーマネジメントとは桁が違う感じで再生されたものが違ってくる、たいへんな分野であることを再確認、というか。違っててもそれなりの幸せがある、という認識がすでに定着してる、ということかもしれない。

また、電源コードを抜いて電池稼動状態だと、電源コード差込口あたりでジージーとかチリチリとかいうノイズは、上記のように WinAMP などを起動すると止まるが、このカードを差しても止まる。

マイク録音のテストをしたり、SoundBlaster カードをはずして本体音源の音と比較したりしてるうちに、本体のマイクからも録音できるようになって、マイクの音が小さかったのは何かの設定ミスだった可能性も出てきた。しかし、以前も音量ゼロではなく、ノイズまみれでごく小さく入ってたし、よくわからない。ともかく現在は本体のマイク端子も正常動作。

飽きずに愛用しているが、お絵かきパソコンとしてより、寝床ブラウジングおよびスパイダーソリテアマシンとして使っている時間が多い。LAN はいまだに有線。でも、内蔵無線 LAN あってこそ、たまに外出先で Yahoo! BB モバイルに繋ぐこともできるわけで、ついててなかなかうれしい。

液晶保護フィルムも買ってみた。これはちょっと前に画面のガラスに小さい傷が入ったのに気づいたためでもある。(もうひとつの理由は、ペンの感触がツルツルすぎるのを改善するため。) ガラスの傷はこすった傷ではなく、衝撃による微小なヒビのようで、ほとんど目に見えない程度ながら、ペンの先が通過するとき多少気になっていた。

フィルムを貼ると傷はまったく感じられなくなった、が、感触はかなりよいフィルムであったものの、モアレが出るので、他のものも試すつもり。


10.5 インチ液晶で XGA。長辺を物差で測って割算をしてみると、124 dpi くらいになる。

裏面の折りたたみ脚は、画面に傾斜をつけるためというより、平らな場所に置いたときに裏側の吸気口および排気口をふさがないためのもの、であるらしい。いずれにしても、放熱のためには裏は空けておく必要がある。ポートレート位置のときに左手で塞ぎがちなので注意。

バッテリのネジ止めしないほうの角(バッテリ固定スライダの向かい)に、何やら模様がある。この「角丸」のところを押すと、隣の 3 つの丸が点灯して、PC 本体を起動せずにバッテリ残量を確認できる。(付属の紹介ムービーで「バッテリゲージ」という名称で紹介。)

気づいていない機能がないか、一度は付属のムービーを確認するとよいかも。しかし、(例によって)翻訳がおかしいので元の意味を考えないとわからない項目も多い。

実際にしばらく続けて tc1100 で絵を描いてみた実例を 【 painter log - Tablet PC で描いてみる 】 (2004/04/21) から数日ぶんの cocolog 記事(tc1100 を擬人化した「タブレット娘」シリーズ)に置いてあります。個人的に tc1100(Pentium M モデル)は次のようなところが利点と考えます。

もちろん「コレがなければもっといいのに」という点もあるわけで。

周辺機器雑感

Small Tips

秋葉原の 【 SOUTH WIND 】 (オンラインショップ名は HYPER FACTORY)というお店で実機が数種類、実際の使い心地を確認できます。

Tablet PC 本体を持っていなくても、使用 OS が Windows 2000 SP4 あるいは Windows XP であれば Windows XP Tablet Edition の「手書き認識」機能をダウンロードしてインストールの上、実際に試すことができます。(自分ではやってないのですが、できるはず、ということです。) ダウンロードは 【 Recognizer Pack のダウンロードの詳細 】 から。ただし、システムにモジュールを追加するとアプリケーションの相性などに問題が出ることもあることを認識した上で実行してください。ヨーロッパ言語のほかに、日本語、中国語、韓国語の手書き認識パックがあります。(「手書き」入力のための「入力パネル」の起動について、Tablet PC 以外の環境での起動が可能かどうかは未確認です。情報がみつかりません。)

2005/05/08 ― 手書き認識パックについて追記。
2005/04/29 ― Sound Blaster Audugy 2 ZS Notebook のレビュー追加。
2005/02/06 ― SpeedswitchXP 設定追加。
2004/11/22 ― 細かくいろいろ追加。
2004/07/25 ― 液晶視野角情報ソース追加。
2004/07/19 ― 線ヨレ問題について追加。
2004/05/01 ― 「その後のいろいろ」を追加。
2004/04/22 ― 最初のバージョン。

(2004/04/22 - 2005/05/08)